戦略的工場経営ブログ設備は動かしてなんぼのもの、稼働率と可動率

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現場の機械設備が動いている状況を評価する指標、ありますか?

1.稼働率

稼働率とは、特定の設備がどの程度稼働しているかを示す尺度です。

2つの表し方があります。

・正常運転の状態を時間で測り、稼働可能な最大時間との比率で表す稼働率

・設備の負荷を製品数量などの仕事量で測り、設備能力との比率で表す稼働率

生産形態が連続生産の職場では重視される指標です。

需要があって、造れば売れる状況であるなら、いわゆる「規模の経済」が効きます。

少しでも多く造って、製品1個当たりの固定費を薄める作戦です。

設備を止めないことが管理ポイントとなります。

こうした場合、管理すべき工程指標として、稼働率は適切な指標となります。

とにかく設備を止めていけません。

したがって、当該工程のキーパーソンは担当設備の稼働率最大化を目指します。キーパーソンに求められるのは不稼働要因を抽出して継続した対策を打つことです。

現場の技術者時代、新しい生産技術を導入した生産ラインを立ち上げたことがあります。事前に可能な限りの対策を講じました。

が、実際に、生産を開始してみると、予想をしていなかった現象も発生。そのため、稼働率が低迷していました。24時間連続稼動ラインだったので、低迷した稼働率を高めることが喫緊の課題です。

そこで、不稼働要因を整理して、地道に対策を打っていきました。

連続稼動ライン連続生産職場では、稼働率を維持することが利益を出すのに必要なことです。収益計算で稼動率が設定されます。その数値を達成できなければ収益未達です。ですから、仕事の中心は、不稼働要因の分析とその対策となります。

ただし、稼働率を指標にして、不稼働要因に着目するのはいわゆる事後保全です。死亡診断書が出てから、慌てて対策します。変化に機動性高く対応しなければならない昨今、このような悠長な対応では競争に負けるでしょう。

今後は、予防保全、さらには予知保全を導入して、高い稼働率を維持するやり方が普通になってくるでしょう。IOTや人工知能を生かした予知保全が期待されます。

情報通信技術を生かした予知保全で効率良く、高い稼働率を維持できそうです。

2.可動率

一方で、可動率があります。音読みでは稼働率と同じですが、中身が異なります。「ベキドウリツ」と呼ぶこともあるようです。

特注生産現場で多品種少量生産を継続させるには、現場の設備に、ある程度の「空き」がなければなりません。

特注生産の悩みの種は、新たに届いた受注案件を受けられるのか?受けられないのか?の判断基準の共有が難しいことです。

受注を受けたはいいけれども、顧客が要望する納期に対応できるのか?そもそも、今、現場では新たな案件を取り込む余力があるのか?設備を動かせる状態なのか?受注可否の判断が簡単にできないという問題を抱えている特注生産現場は多いです。

「空き」があれば、まずは、案件を受けて、現場へ材料と投入できます。こうした場合、案件を受注すべきか否かの意思決定に稼働率はあまり役に立ちません。

把握する必要があるのは、次の2つです。

・どれくらいの設備の余力があるか

・その設備はいつでも動かせる状態にあるか

対象となる設備に「空き」があり勇んで受注をしたのはいいけれども、設備は故障していて動かなかったではもったいないです。

したがって、多品種少量の製品を個別、あるいはロットで生産する現場では、設備が連続で稼働していることよりも、必要な時にしっかり働いてくれる設備の信頼性も重要になってきます。

つまり、可動率とは、「動かしたい時に正常に動かすことができるか」を表した尺度です。例えば、下記の定義ができます。

可動率=正常に動かせた回数÷動かした回数

動かしたい時に正常に動かすことが大切なので、機械設備の「信頼性」を管理することになります。そして、「信頼性」を表現する2つの指標があります。故障のしにくさと修理のしやすさです。

・平均故障時間

(Mean Time To Failure、略称:MTTF)

・故障したものを修理して回復するまでの時間として平均修理時間

(Mean Time To Repair)

前者では故障と故障の間隔を評価します。

後者では修理時間の平均を評価します。

こうした数値で、機械設備の「信頼性」を管理するのです。

3、結局、「何を」知りたいのか?

こうした定義に、厳密性はありません。

稼働率にしても、可動率にしても、重要なのことは「何を」知りたいのかということです。

現場のムダ取りをすることが目的なら、稼働率の発想に近い指標が効果的です。また、止めたらダメという設備があるなら、稼働率を管理するのが良いでしょう。

一方、特注生産現場では、設備の「空き」が受注可否を決めます。

したがって、発案件を積極的に受注するには、「空き」とともに、動かしたい時に動かせる状況を維持管理することがカギです。可動率の考え方です。100%となるように監視する必要があります。失注を回避するためです。動かしたいときに動いてもらいたいのが設備です。

機械設備は動いてなんぼのものですが、その評価は、生産形態によって様々です。結局、経営者は「何を」知りたいかということになります。

稼働率にせよ、可動率にせよ、細かい定義にこだわらず、貴社の知りたいことに合わせてアレンジするのです。

機械設備の動いている状況を的確に評価する指標を考えませんか?

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