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貴社の現場は、多品種化へ対応しやすい体制になっていますか?

1.設備が目いっぱい稼働していると多品種化へ対応できない

現場の設備は、稼働させてなんぼのものです。

停止している設備からは、何も生まれません。

したがって、多くの現場では、設備を止めないことにエネルギーを費やします。

私が勤務していた工場では、現場を見回り、停止している設備を見つけては、「なぜ、これは止まっているのだ?」と確認する部門長もいました。

小品種で多量生産の現場なら、そうした対応が必要です。稼働率が収益の源泉となります。特に、ライン生産方式は大量生産による固定費低減作戦ですから、止めてはいけません。

しかし、それが、多品種で少量化生産となると、事情がかわってきます。

生産ロットも、大きい案件から、小さい案件まで様々です。仕様も多様です。顧客の希望に沿った製品ですから付加価値額も高めやすくなります。中小製造現場が戦うフィールドはこの多品種少量です。価格競争を回避しなければなりません。

ですから、現場に求められるのは、柔軟性であり機動性、小回り性となります。柔軟性を高め、受けた受注案件を、即刻、現場へ投入し、さっさと加工を終わらせるのが理想です。受注情報を受けたら、すぐに生産指示書を作成して、現場へ出せるのが、望ましい姿でしょう。

しかし、実際の現場では、そうは簡単にいきません。

中小の現場の多くは機能別レイアウトです。多様化のためのレイアウトともいえます。

さて、そうした機能別レイアウト職場で、受注情報が届いてから具体的な生産指示を出すまでの間に、どのような作業があるでしょうか?そして、判断に困る作業はどれでしょう。

判断に困るということは、時間が掛かるということです。担当者の判断プロセスの途中で困る場面が、納期という観点で全体を見た場合に、ボトルネックになっていることがあります。

特注生産では、特にそうです。

特注生産で、新たな受注情報を受け取ったとき、担当者がまず考えるのは、この案件を生産ラインへすぐに投入できるのか、そして、指定された納期に間に合うのか、ということです。

つまり、現場の余力と納期との関係です。

ライン生産方式とは異なり、機能別レイアウトでは受注の度に、工程設計もしなければなりません。したがって、現場の余力と納期との関係を把握するのに、しばしば、時間がかかります。

また、当然のように、生産現場では、最大限に設備を稼働させようとしているので、希望納期で生産を完了させられるかどうかは、現場の余力次第です。

常に目いっぱいの稼働をしている現場には、余力がありません。

タイミングよく、「空き」があれば受注できる案件も、希望納期に対応できず、納期調整を余儀なくされ、最悪は、失注になってしまいます。

いつも、目いっぱいの現場に、身を置いている生産管理者は、届いた受注情報への対応に頭を悩ませることになるのです。

設備が目いっぱい稼働していると、多品種化へ柔軟に対応できません。一方、現場に、いつも一定の余力があれば、新たな案件の受注可否について頭を悩ませることも減ることでしょう。

判断で頭を悩ませる場面を減らすこと、加えて、受けた受注は全て対応できる体制を敷くことが、多品種化へ向けて目指すべき状態です。

そうした対応ができれば、顧客は、いつでも、どんな時でも、希望納期を実現してくれる貴社を選んでくれるようになります。

2.あえて設備を空けておく

顧客要求が多様化している昨今です。多品種少量生産に適応できる現場へ、変える必要があります。

過去の成功体験により、多量生産の仕事のやり方のままである現場が多いかもしれません。現場の設備を常に稼働させるという考え方は、大量生産時代の考え方です。製品の種類が少ないときには効果的です。

しかし、品種が多くなり、ロットが小さくなってくると、細切れの生産が求められます。

市場が変化しているのに、現場では相変わらず、「まとめて作る」ことが正しい、設備を止めないでなるべく一気に作るのが正しい、と考えていたら、いつまでたっても機動性が高まらず、変化についていけません。では、どうするか?

現場の設備を意図的に空けるようにするのです。いつでも、ある一定の設備が空いている状態を作り、それを維持します。

そうすることで、受注した案件を、まずは、そこへ投入できるようにするのです。受注の相談があったら、悩まず受け、その空き設備へ原材料を投入しさえすればいいのです。

しかし、これを実現させるには、現状対比で、余力を生み出す設備を準備する必要があります。

では、どのように、この設備を準備しますか?

設備投資する?

違いますね。

そうです、生産性を高めて、余力を生み出すのです。

余力を生み出せば、対象製品の付加価値額生産性も高まります。

その余力を、多品種化向けの余力に回すのです。

一石二鳥の生産性向上です。

生産性向上→余剰の経営資源→多品種化への対応

この考え方は、あらゆる生産形態にあてはまります。貴社の生産形態でもできることです。

設備の余力を持つことは、多品種化への対応になります。さらには、突発・特急案件への対応力も高まります。

付加価値額生産性を高め、設備の余力を生み出して、多品種化へ生かす仕組みをつくりませんか?

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