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1.ガラス大手AGCの孫会社での品質不正

 1月30日の朝日新聞デジタル版に大手素材メーカー品質不正の記事が掲載されていました。孫会社での品質不正ですが、親会社の責任が免れる道理はありません。

 AGC孫会社で品質不正 担当者がウソの成績表

 ガラス大手AGCの孫会社「AGCプライブリコ」(東京)は30日、ゴミ焼却炉内部の耐火壁を支える金属部材が、JIS規格を満たしていなかったと発表した。

 不適合品は2005~19年に、国内外88社へ約10万個が出荷された可能性があるが「安全性に問題はない」といい、顧客から要望があれば無償で点検に応じる。

 この部材は「耐熱鋳鋼アンカー」と呼ばれるもので、鉄鋼メーカーや石油精製メーカーのプラントでも使われている。だが部材に含まれる炭素やニッケル、クロムの値がJIS規格を満たしていなかった。

 プライ社によると、この部材は1995年以降、群馬県のメーカー(17年に廃業)に製造を委託。

 だが05年以降、このメーカーから提出されるはずの「材料試験成績表」が提出されなくなったため、プライ社の当時の購買担当者(すでに退職)が、過去の試験結果を転記したりウソの数字を書いたりした成績表をつくり、顧客に渡していた。

 加えてプライ社は06年、第三者機関に製品の分析を依頼した際に不正を把握したのに、放置していた。

 2017年~2018年にかけて大手素材メーカー、自動車メーカーでの品質不正がたびたび明らかにされました。経営者層と現場が乖離していることなどが取り上げられ、多くの問題点が指摘されたことを思い出します。

 まだまだこうした事例が明らかになるのは残念ことです。全員が襟を正して、品質意識の醸成に努めなければなりません。

 

 

 

 

 

2.品質意識の欠如

 先の記事はAGCの生産委託先での出来事でした。本来素材メーカーとして持たなければならない「材料成分」への認識の低さに驚かされます。

 素材メーカーで成分を無視した製品を世に送るということは、自動車メーカーが衝突安全性を無視した自動車を世に送ると同じくらいにあってはならないことです。プロ意識の欠如と言わざるを得ません。

 さらには、第三者機関での分析をきっかけに品質不正を把握したのに放置していたというのです。委託先も親会社も品質意識に欠けています。

 

 では、品質意識を高めるにはどうするか?品質活動に関する共有すべき思考回路とはどのようなものか?ここがしっかりしていないと、品質不正の芽が生まれます。一体感を持った品質活動に欠かせないことは・・・・。

1)経営者や経営絵幹部は品質不正を絶対に許さないという毅然とした姿勢を示すこと。

2)現場では品質に関する共通用語を持つこと。

 

 前者は言うまでもないことでしょう。ダメなものはダメであるときっぱりと言い切る姿勢を現場へ示します。QCDで優先すべきは品質であることを明言することは思考回路を共有するためには欠かせないことです。

 そして、後者も重要です。これで、品質意識を醸成させます。品質に関する共通用語として、真っ先に考えたいのは不良率や手直し率(良品率や直行率)です。

 不良発生件数や不良損金額を目標値としてかかげるやり方もありますが、当然、分子は分母に影響を受けるので率で語り、それを共有したいところです。率で語ると品質水準を共有できます。

 

 

 

 

 

3.不良率や手直し率の管理

 不良率や手直し率を管理するなら、まずは、不良率や手直し率を定義しなければなりません。例えば、手直し率なら、分母は「加工数」、分子は「不良品数+手直し品数」と定義するとかです。

 ここで、留意したいことがあります。それは分母の加工数です。調整加工でスクラップにした、樹脂の射出成形や非鉄金属の鋳造加工で試打ちをした等、不具合品以外のロスも勘定に入れることを忘れてはなりません。

 以前、指導したことがある鋳造生産現場では、段取り後、生産に立ち上げて良品判定が出るまでの試打率が3~4%だったことがあります。不具合品ではないですが、原価管理上、無視できないコストでした。

 

 定義を明らかにした後に、管理基準(標準)を設定します。管理基準(標準)は一般的に、上限と下限から構成されますが、製品機能がこの範囲へ入るようにするのが「管理」です。一方で、上限と下限の水準を高める、あるいは上限と下限の管理幅を狭めるのは「改善」となります。管理と改善は別物です。

 製品機能を設定した範囲へ入るようにしよう、外れたらもとに戻すように調整しよう。規格から外れた製品ができたら、それはロットアウトして異常品処理をしよう・・・・。全員が同じ判断基準を持ち、品質不正を許さないという姿勢を貫くことが品質意識です。

 こうした思考回路を共有するためにも、日常的に品質を数値で語りたいのです。品質の判断基準が明らかになります。

 

 

 

 

 

4.ppm管理とシックスシグマ

 どのような水準で不良率を捉えるか?つまり、自分の職場の品質不具合は100個に1個に水準なのか?1,000個に1個の水準なのか?それとも10,000個に1個の・・・。この感覚はその現場の品質を考える思考回路のベースとなります。

 桁違いの品質を目指すなら、100個に1個の水準を1,000個に1個へ、また1,000個に1個の水準を10,000個の水準へ高めたいものです。管理のやり方に工夫を加えて、品質意識を高めます。

 

 ppm管理という考え方があります。具体的には100万個生産して不良が1個発生したようなケースを1ppmと表示する方法です。通常、不良率や手直し率は%表示されますが、ppm表記することにより、悪さの水準がより大きな数字となって表記されます。1%は10,000ppmです。

 工程能力指数の目標は一般的に1.33です。工程能力は十分にあり、理想的な状態なので維持するべき状況と判断できるからです。この水準での不良率は10万個に6個程度の不良品が発生する0.006%、60ppmです。

 また、シックスシグマという考え方もあります。ここでは、100万個に3~4個程度の不良品が発生する不良率3.4ppmの水準を目指します。

 品質不正のきっかけはどのような形で私たちの目の前に現れるか分かりません。したがって、「変化」をとらえたいのです。不良率や手直し率のように、品質を数値化していれば、変化を捉えやすくなります。

 不良率や手直し率の現状と目指すべき水準を明らかにしていれば、品質に関しての共通用語も生まれるので、祖s時期として、チームとして、異常に気が付きやすくなるはずです。

 

 先のAGC孫会社「AGCプライブリコ」での品質不正は、19年11月、今の購買担当者がこれまでの経緯を上司へ申告し、出荷を止めて調べたことがきっかけとなって正されました。

 今の担当者”個人“の勇気ある行動のおかげで膿を出すことができたのです。品質不正は本来、組織的に正す仕組みがなければならないのは言うまでもありません。

 

 気になるのは、なぜ改ざんに手を染めたのか?ということですが、最初に改ざんを始めた担当者とは連絡が取れず、動機は分かっていないとのこと。仕事が組織的にやられていなかった証左でもあります。

 品質不正を防ぐには、共通用語を持ち、品質意識を共有して、組織的に仕事をする仕組みを持つことです。共通用語として不良率や手直し率に焦点を当てます。数値は白黒をはっきりさせてくれます。

 

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