戦略的工場経営ブログ多品種少量生産も加味した3つの生産形態

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貴社の生産形態は多品種少量生産の影響をどの程度受けていますか?  

1.多品種少量生産を考慮して現場の生産形態を知る

受注のタイミングで生産形態を3つに分類できます。 特注生産、規格品受注生産、見込生産。   そして現在、 市場の成熟化、需要の頭打ちである一方、顧客要望の多様化が拡大しています。 したがって、多品種少量生産は中小製造企業が必ず直面する課題です。   ですから、生産形態も次のように言い換える必要があるかもしれません。 ①多品種少量特注生産 ②多品種少量規格品受注生産 ③多品種少量見込生産   中小製造企業は、これら3つのどれか、あるいは組み合わせです。 80%の多品種少量見込生産と20%の多品種少量特注生産とか。 60%の多品種少量規格品受注生産と40%の多品種少量特注生産とか。   現場の生産形態を、 このように整理することは、儲かる生産管理の仕組みづくりに欠かせません。 3つの生産形態には、 それぞれ特徴があり、上手く機能させる勘所が異なるからです。 それぞれの特徴に着目しながら仕組みをつくる必要があります。   現場は一見、複雑ですが、 整理すると、 これら3つの形態の組み合わせであり、 それぞれの特徴に注目するのが必要なのです。   生産の流れをつくる生産管理のやり方は一通りではありません。 貴社の現場の形態、 具体的には3つの生産形態の見極めをしながら生産管理のやり方をつくります。   生産管理という枠組みは共通ですが、 貴社で出来上がった仕組み自体は、世界にただ一つのものになるのです。          

2.生産形態3つの特徴

生産管理の仕組みをつくるとき、 多品種少量生産の要因も加え、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。   ①多品種少量特注生産 この生産形態に対応できる現場の強みは小回り性です。 機動力を持って、柔軟性高く顧客に対応することが求められます。   特注品は原則、受注ごとに設計をするので、そもそも「多品種」です。 ですから、 特注生産の頭に、 あえて多品種少量という表現を付けなくてもいいかもしれません。 ただ、それでも、やはり、しっかり「多品種少量」を付けたいです。   改めて、 中小現場の強みを認識して、 この生産形態で大手との差異化を図りたいからです。 それには、この生産形態を強化するのが一番です。 大手がやらない分野です。   多くの中小現場は、この多品種少量特注生産を実施しています。 ですから、今一度、自社の仕組みを強化するのです。 多品種への対応には、現場の意識改革も欠かせません。       特注生産は、他の2つの生産形態と決定的に異なるところがあります。 それは、QCDの決定権、特に納期の決定権がモノづくり側にはないということです。   ほぼ100%顧客要望という形で提示されます。 そして、この顧客要望は、 従来と比較して、ますます高い水準のQCDになっているのではないでしょうか。 短納期対応もあります。   この顧客要望に、 都度小回り性を生かして対応し、 良い意味で顧客の期待を裏切るように成果を出し続けることがこの生産形態のカギです。   手間がかかる分、 他の2つの生産形態と比べて利益率も高くなりやすいという特徴もあります。   中小の現場はこの生産形態で稼げるようになることを目指すべきです。 大手にはない強みを発揮できるからです。   ただし、一方で、問題を抱えている現場も多いのではないでしょうか? 中小は小規模な生産形態であることが多いので、力づくでも仕事を回せるということです。   その結果、個人的な頑張りで仕事をしがちです。 しかし、多品種少量となると、そうしたやり方のみでは早晩、行き詰まります。 組織的に仕事をする仕組みをつくることが課題です。       ②多品種少量規格品受注生産 大手企業を顧客に持って、下請け型の事業展開をしている現場はこれです。 受注のきっかけは、 特注品であることが多く、 その後、規格品の繰り返し生産へ移行するパターンが多いです。   繰り返し生産するので、 生産を重ねる毎に現場の技能も高まり、 生産性を高める絶好の対象品となります。 ただし、製品の利益率は必ずしも高くはないです。   多くの中小現場では、 ①と②の組み合わせになっているのではないでしょうか。 ②で50%以上あることが、現場の効率を高めるのに効果的です。 中日程計画で現場の「空き」を明らかにして、その「空き」へ①を当てはめます。       規格品とはいえ、 多品種少量化に伴ない、 生産ロットは小さくなります。   その結果、 管理すべき品物の品種数は増えますから、 これも従来の仕事のやり方をしていては行き詰まります。   ただし、納期の面では、 ①に比べコントロールできるところが多く、 経験を重ねるうちに効率を高めることができるのです。   利益率は低いけれども、 現場の効率を高められるこの生産形態をブラシュアップし「空き」をつくること、 そして、その空きへ「利益率」の高い①をどんどん埋めていくこと、 これらが目指すべき状態となります。       ③多品種少量見込生産 自社ブランドを持って事業展開をしている製造企業これです。 多品種ゆえ、場内には多くの仕掛品、完成品が存在します。   見込生産なので 納期の決定権は自分たちにありますが、 仕掛品、完成品ともに管理すべきモノが多く、属人的な対応ではかなり辛いです。   金属加工製品メーカーで 生産管理者の役割を担っていたとき、 その現場には工場全体を貫く生産管理の仕組みはありませんでした。   担当者の力量で回していた感じです。 品数が多く、 あらゆるもの(原材料、仕掛品、完成品)を追っかけるのに手が一杯でした。   いきおい、関心の対象が納期遵守のみに向けられます。 というか、 それ以外へ関心を向けたくても、 現場で状況を把握するのが精一杯で、 他のことには手が付けられなかったと言うのが正直なところでした。   つまり、 こうした形態の職場で、 多品種少量生産対応の仕組みがなければ、 生産性を高める活動を現場に期待しても無理だということです。 改善活動も往々にして形骸化します。   こうした事態に陥るのは、 現場が怠けているからではなく、 日常業務が組織的になされないからです。 現場のやる気を引き出せません。 この生産形態での重要な論点となります。       儲かる工場経営に向けた、 経営者のための「儲かる生産管理」は、 自社の生産形態を3分類で分析し、把握したうえで構築されるものだということがわかります。   多品種少量生産の3つの生産形態に着目した貴社独自の生産管理の仕組みをつくりませんか?   株式会社工場経営研究所 「儲かる工場経営」メルマガ ご登録ください。 毎週火曜日配信中。 https://48auto.biz/koujoukeiei/registp.php?pid=3
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