戦略的工場経営ブログ「多品種少量化」を品種数で定義するのは難しい

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現場が抱えている問題の原因は多品種化にありませんか?

1.圧倒的なQCD

利益を生み出す源泉は、製品毎に積み上げられる付加価値額です。

経営者は、5年先、10年先を見据えて、固定費VS付加価値額を設計します。そして人時生産性を高める具体策を実践するのです。付加価値額を積み上げ最大化します。

10年ロードマップ戦略プログラムでは、「圧倒的なQCD」という視点があります。

圧倒的な品質。

圧倒的なコスト。

圧倒的な納期。

付加価値額最大化の着眼点です。

貴社のモノづくり戦略も、結局は、これらの組み合わせになっています。

そして、ここで言う「品質」の適用範囲は、一般的な「品質」よりも広いです。

一般的な「品質」は、設計品質の通りに製造されること、製造品質を指すことが多いです。

一方、付加価値額の積み上げ戦略では、製品の仕様まで含めます。

顧客に選んでもらえる価値をどのよう創出し、どのように提供するかも「品質」と考えるのです。

圧倒的な「品質」差別化が、中小の製造企業で目指すべきモノづくり戦略のひとつとなります。

価格競争を回避するためです。

2.多品種少量化は顧客から求められている品質のひとつ

多くの中小製造現場は多品種少量化に直面しています。

これは、好むと好まざるとにかかわらず、顧客の要望に応えていたら、「結果として」多品種少量化に至ったという経営者が多いようです。

個人、企業にかかわらず、顧客の要望は個別化しています。

人も会社も、自分が望んでいる製品を手にしたいと考えるからです。

その結果の多品種少量化です。

ですから、「多品種少量化」への対応は、顧客へ価値を届けていることに他なりません。

昨今のモノづくりで、「多品種少量化」は顧客から求められている当然の「品質」となります。

さて、貴社の製造現場ではどうでしょうか?

現場は「多品種少量化」に直面して、何か問題を抱えているでしょうか?

慢性的に抱えている問題の原因は「多品種少量化」にあるのではないでしょうか?

もし、そうならば、従来とは違う仕事のやり方をしなければなりません。

仕事のやり方を変える必要があります。

3.多品種少量化を品種数で定義するのは難しい

ここで、改めて確認したいことがあります。

それは、「多品種少量化」の「多品種」の定義は、どのようなものなのかということです。

どのように「多品種」を定義すればいいでしょうか?

多品種ということなので、品種数が関係してきますから、品種数の相対的な多寡で決まりそうです。

しかし、品種数で多品種を定義するのは難しそうです。

なぜなら、業種業態、および規模が同じでも、企業によって、品種数に対する考え方が異なるからです。その企業の成り立ちに従います。

品種数が100種類を多いと感じる企業もあれば、普通だと感じる企業もあります。

さらに、品種間の構成部品も様々です。

例えば、小さな部品を1個付け替えただけで別品種となる製品もあれば、品種間の部品構成が大きく違っている製品もあるでしょう。

製造品質を維持するのに配慮しなければならない項目にも差があるわけです。

前者のような製品ならば、多品種となっても、現場の負荷が目見えて現場の負荷が増えることはありません。

一方で、後者のような製品で多品種化したら、現場の管理項目数はうなぎのぼりです。

「多品種少量化」の多品種を品種、製品の種類数で定義するのは難しいと言わざるをえません。

ですから、「従業員数が○○、品種数が○○なので、貴社は多品種少量化ですね」

というように、数値分析から、適切に多品種化の判断をすることはできないのです。

仮に、多品種化の判断を品種数の多寡にこだわって分析しても、普遍的な考え方が導かれるわけでもなく、時間をかける割には、報われません。意味もないです。

したがって、「多品種少量化」では、現場へ影響を及ぼしている要因を拾い上げ、そこに問題があるのかないのかで判断していきます。

「多品種少量化」が、問題の背景にあるとしたら、問題解決策は従来の仕事のやり方の延長線上にはありません。

市場環境が変わって、顧客は多品種化を望んでおり、従来の仕事のやり方では対応できないからです。仕事のやり方を根本的に変える必要があります。

先にも申し上げましたが、今や多品種少量化は顧客から当然に求められる「品質」です。

多品種少量化をテーマにあげるとき、品種増のため、現場の負荷が増えている項目へ焦点を当てます。多品種化の本質を、品種数ではなく、「現場の負荷」で捉えるのです。

貴社ではどのような項目に焦点を当てますか?

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