戦略的工場経営ブログライン編成効率で設備レイアウトの効率を計る
貴社では生産ラインの「効率」を評価していますか?
1.ライン編成効率
現場の設備レイアウトを大別すると2つです。
・機能別レイアウト
・製品別レイアウト
貴社のレイアウトはどちらですか?
多品種少量製品を扱う現場では、前者が多くなります。
設備が機能別に集められているので、多品種でも概ね生産の流れは一方向です。
物の流れが、右から左、左から右、さらには行ったり来たりでは、儲かる感じがしません。
原材料から完成品へ向けての導線が
交錯していては、全体最適化が図られず、
生産性が高まらないことは、感覚的に理解できるでしょう。
機能別レイアウトは、ある意味で、多品種化の生産効率を高める手段なのです。
しかし、当然、機能別レイアウトの生産向上には、限界があります。
そこで、高生産性を実現する設備レイアウトとして取り上げられるのが、製品別レイアウトです。
具体的にはライン生産方式です。
物の流し方がロット、あるいは連続となり、効率を上げやすい設備レイアウトとなります。
生産工程順に設備が配置されており、
原則、原材料から完成品に向かって一気通貫に物が流れ、生産性を高めるの寄与するのです。
そもそも、ライン生産方式の狙いは高効率です。
効率が低いライン生産方式では、意味がありません。
柔軟性を捨てて、特定の製品(製品群)でどこにも負けないだけの低コストを目指しています。
それができていないと、何のためのライン生産方式がわからないのです。
そこで、生産ラインの生産性を評価する指標を活用します。
それが、ライン編成効率です。
2.ボトルネック工程
ここで、A~Cの3工程で構成されるラインを想定します。
各工程の所要時間(作業時間)は下記です。
工程A 40秒
工程B 30秒
工程C 50秒
するとライン編成効率は次のように計算されます。
(40+30+50)÷(50×3)×100=80%
つまり、工程A~Cの所要時間の合計を、
最大所要時間(ここはで工程Cの50秒)×工程数で除するのです。
生産ラインを構成している工程の
所要時間のうち、最大所要時間が、そのラインのサイクルタイムとなります。
サイクルタイムはピッチタイム、タクトタイムとも呼ばれる時間です。
つまり、ボトルネック工程の所要時間=ラインのサイクルタイムです。
そして、生産ライン全体の効率を高めるのに、ボトルネック工程に注目します。
そこの所要時間を短縮するのです。
この場合は、ボトルネック工程は工程Cです。
工程Cの50秒に焦点を当てます。
50秒を短縮すれば、ライン編成効率を高められます。
分母を小さくするからです。
一方で、工程Aや工程Bの所要時間を
短くして、分子小さくしても、効率を高めるのに役立ちません。
ライン生産方式では、ボトルネック工程に着目すべしと言われる所以です。
3.機能別レイアウトの効率
この考え方は、ライン生産方式である製品別レイアウトで適用されますが、
機能別レイアウトへも、拡大して適用できます。
機能別レイアウトのラインの効率化を、見える化できるのです。
弊社では、ご指導する企業様に、必ず現状分析をしてもらいます。
”今”を知らなければ、改善の方向性の良し悪しを、判断できないからです。
加えて、現場の頑張りに対する的確なフォローと評価もできません。
つまり、ビフォア、アフターです。
把握しておきたいビフォアの中には、生産リードタイムがあります。
主要製品のリードタイムとと各工程ごとリードタイムです。
ライン生産方式のサイクルタイムに相当する数値です。
これを活用すれば機能別レイアウト職場でもライン効率を評価できます。
経営者に必要な、全体最適化を評価する数値のひとつです。
機能別レイアウト職場のボトルネックを見える化します。
機能別レイアウトの現場を持つ、ある中小加工企業での話です。
特定の製品に着目して、現状分析をした結果、
タレットパンチプレス工程がボトルネックであるとわかりました。
作業分析によって、段取作業に改善の余地がある事実を、現場と共有できました。
段取時間に占める原材料を探す時間が、小さくなかったのです。
さらに、原材料となる異なる厚みの薄板を加工順に積み替える作業もありました。
そこで、前工程の切断工程と連携して改善活動を進めたのです。
活動の結果、ライン編成効率に相当する数値が10%程度向上しました。
ボトルネック工程での、生産リードタイム短縮による効率アップです。
これにより、ライン全体の生産リードタイムも短縮します。
生産ラインの効率を見える化して、他のラインと比較できるようにした成果でもありました。
現場は皆、自分の職場を良くしようと頑張っています。
他と比較されて、自工程が足を引っ張っていることを示されたら、黙ってはいられません。
先の事例でも、数値で事情を理解したその工程のキーパーソンが、自律的に活動した結果です。
経営者は、客観的な数値で、現場をコントロールできます。
経営者は、全体最適化を判断する、客観的な指標を複数持つ必要があります。
部分最適化は現場に任せます。
全体を俯瞰するのは、経営者にしかできない仕事です。
現場の設備が、
製品別であろうが、
機能別であろうが、
工場レイアウト全体の効率を判断する指標を持つことが大切です。
流れるように生産することを目指します。
機能別レイアウト職場で、ライン効率を評価する仕組みをつくりませんか?