戦略的工場経営ブログ赤字で苦戦する現場で是非とも実践したい2つのコト

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赤字で苦戦している現場では、 管理者や経営者が「心遣い」と「ほめること」を実践する、という話です。 負のスパイラルから抜け出すためです。   人財のやる気を引き出すため、 「給料」以外のコトにも注目していますか?   ウチの工場は、まぁ多くはないが、平均レベルの給料は出しているけど。 現場のやる気を出したり、 優秀な人財を採用するためには、給料をもっと高くしないとダメかなぁ・・・。 「お金」以外にやる気を引き出すコトには何があるだろうか?   現場の「心に響くコト」に焦点を当てます。 心が揺さぶられると、 共感が生まれ、一体感が醸成され、行動が変わります。      

1.高収益企業が収益向上に向けた課題と考えていること

収益向上に向けた課題は?   このように問われ時、どう答えますか?   中小製造業で、 高収益企業と低収益企業の間では考え方の違いがありました。   高収益企業も低収益企業も 「新規顧客・販売先の開拓」は同じように重視しています。   ただし、重視の度合いが異なる項目もありました。 ・高収益企業が重視する項目、 「優秀な人材の確保、人材育成」「技術開発の拡大」   ・低収益企業が重視する項目、 「既存顧客・販売先の見直し」   言い換えると、低収益企業は、”今”への対応で手一杯。 人財や技術への将来投資どころではない。 という状況に置かれているようです。   高収益企業と低収益企業の間では、 売上高経常利益率に大きな格差が見られます。 赤字で苦戦しているモノづくり現場へ未来を語る 低収益企業は、目の前の問題に対応することに力が割かれています。 したがって、長期的な視点で仕事ができない。 だから、負のスパイラルから抜け出せないと推察できます。       また、高収益と低収益の差は労働生産性の違いにも表れています。 下記のグラフは中小製造業での 高収益企業と低収益企業の労働生産性の推移を表しています。   1983年を100として、 1980年代、 1990年代、 2000年代、 2010年以降の年代別平均の推移です。 (出典:財務省「法人企業統計調査年報」2015年版中小企業白書)   上段のグラフ:小規模企業 下段のグラフ:中規模企業 図2 図1   国内製造業全体の労働生産性は 1990年以降、全体平均では、ほぼ横ばいでしたが、 工場運営で全体最適の指標は重要である 実は、高収益企業と低収益企業との間には格差が見られます。   高収益企業の方が、明らかに労働生産性が伸びています。 中小製造業の高収益企業と低収益企業で 利益率の格差が生じている背景には、労働生産性の違いがあります。       さらに「今後の賃金に関する考え方」を調査した結果が下表です。 (出典:2014年9月帝国データバンク調査 2015年版中小企業白書)
  高収益 企業 低収益 企業 差(高収益企業-低収益企業)
 年功序列的な賃金体系を志向  15.4%  14.3%  1.1%
 職能給的な賃金体系を志向  69.3%  70.4% ▲1.1%
現状維持 17.5% 19.6%  ▲2.1% 
 優秀な人材確保のため、積 極的に賃金を高めていきたい  47.3%  37.5%  9.8%
  「優秀な人材確保のため、積極的に賃金を高めていきたい」で、意識の差が見られます。   成長志向の強い高収益企業では、 賃金を積極的に高めていく意向をもっていることが分かった。 それは、優秀な人材の確保のためである。 このように白書では結論づけています。     賃金を積極的に高める意向→優秀な人材の確保→労働生産性向上 高収益企業はこの流れに乗っているわけです。   付加価値を生み出せば未来投資の原資が手に入ります。 それを活かして優秀な人財を確保することが可能です。 人財はそれ自体が成長する重要な経営資源です。 存続と成長のために人財を戦略的に確保することは欠かせません。     一方、赤字で苦しんでいる工場からは、次の声が上がります。 「ウチも儲かっていればそうしている。 収益が出ていなければ、まずは目先のことをやらねば!!」     収益が出て、 未来への投資の原資を手にするから、人財確保ができるのか? 人財確保できているから、 収益が出て未来への原資を手にするのか? 鶏と卵の話になってしまいます。 どちらなのでしょうか。      

.赤字で苦戦する現場では心に響くコトに注目する

確かに高い賃金と優秀な人財の確保には関連はあります。   タダそれだけではありません。 そうでなければ、 世の中、新たな企業の生まれる余地がなくなります。   創業者の熱い想いで立ち上がった新興企業の給料って高いの? だから人財が集まるの?   そのようなことはありません。 創業者の”熱い想い”に共感して多くの人財が集まるケースもあります。   若手人財が求める 「仕事の目的」 や 「仕事のやりがい」 に注目です。 お金を生み出す工場経営の主役は人である 存続と成長を実現できる工場とできない工場の違い 「お金」だけではないことに気付きます。     ここで改めて考えたいのはやる気を引き出すことです。   お金でやる気を引き出すことは可能です。 当然、やる気を引き出す要因のひとつであることには間違いはありません。   ただし、一般的にその効果は長続きしないと言われています。 ですから、「心に響くコト」に焦点を当てます。 感情に訴えるのです。 動機付け理論の考え方をドンドン活かします。   キーワードは「心遣い」と「ほめること」です。 決して現場を甘やかす、ということではありません。   正確に表現するならば、以下です。 「仕事の成果は厳しく求めつつ、現場への心遣いとほめることを実践する。」      

3.私もやる気を引き出してもらっていたコトに気が付いた

学校を卒業後、工場勤務になり、 そこで新プロセスを開発する機会がありました。   どこのメーカーでもそうですが、 一連の開発プロジェクトの中では、 新技術を量産へ導入する段階が大きなヤマのひとつです。   開発段階、試作段階では、 まずますの結果だったのですが・・・。 量産段階で予期せぬ問題が多発、という事が多々あります。   この時もそうでした。   量産が目の前にもかかわらず、安定した生産が維持できない・・・・・・・。 何が原因で、何をどうすればイイのだろう・・・・?   同僚や後輩、現場と連日連夜、議論、検討、検証の繰り返しです。 平日休日、昼夜問わず踏ん張ってやっていました。   その時の上司の対応を今でも思い出します。   その上司は必ず、一日一回は状況を確認しに、現場へ足を運んでいました。 「お疲れさん。なかなか上手くいかないねぇ。 アノ考え方はイイ着眼点だと思って期待していたんだけどなぁ。 本格的な量産が目の前だから、 なんとかしなければならないから無理がかかるけど、頑張ってくれ。 で、今日は、何をどうする?」   20代後半から30代にかけての、まだ若い頃でした。 その頃は上司といっしょに成功を喜びたい、 喜んでもらいたい、という気持ちでやっていたことを思い出します。   若かったし、まだまだ素直な頃(?) 上司の言葉に上手く乗せられていたともいえるのかもしれませんが。   今、振り返れば、その時の上司は、 部下たちへ「確実に」心配りをしていた、ということに気が付きます。   そうでなければ、毎日、現場と、 進捗について当を得たやりとりができない。 表現が悪いかもしれませんが、 ある意味「意図的に」そうしていたのかもしれません。   なかなか結果がでない仕事で、 部下のやる気をいかに維持するか・・。 それが組織における管理者の仕事だと言えば、まさにそのとおり。   意図的であろうが、なんであろうが、 結果として部下を動かしたのだから、その時の上司はエラカッタ。      

4.「心遣い」と「ほめること」で心を動かす

その時の上司も、かって、 そのような状況に直面し、そうした経験があったのかもれません。   こうした経験は、指導・支援する仕事をやっている現在、とても役に立ちます。   心に響く言葉を何度も耳にするうちに、 若手人財の心の中に会社への信頼が生まれます。 一生をかけて働こうとして選んだ会社に間違いはないと確信もします。   こうなれば、やる気を出して、 じっくり腰を据えてイイ仕事をしてもらう体制が準備完了です。   逆に言うなら、会社辞めて何か違うコトでも ヤロウカナと考える輩にイイ仕事は絶対にできない、ということです。   「心遣い」と「ほめること」を実践することで、やる気を引き出します。 「心遣い」と「ほめること」で心を動かします。 心が動けば、共感が生まれ、一体感が醸成されて行動が変わります。   経営者は工場の将来像を描きつつ、 「心遣い」と「ほめること」を実践する。   赤字で苦戦している現場が、負のスパイラルから抜け出す確実な一歩目になります。 「心遣い」と「ほめること」は・・・・・プライスレスです。   まとめ。 「お金」以外にやる気を引き出すコトとは何があるだろうか?   現場の「心に響くコト」に焦点を当てる。 現場では、心に響くコトに触れることで共感が生まれ一体感が醸成さ行動が変わる。 赤字で苦戦している現場では、負のスパイラルから抜け出すために 管理者や経営者が「心遣い」と「ほめること」を実践する。
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