戦略的工場経営ブログ若手人財は「意識して」育てる

若手人財を「意識して」育成していますか?
1.三位一体の工場経営
「現場と経営者が近い」ことは、中小企業モノづくり工場の強みのひとつです。 中小製造業の現場には、一体感を感じる前提条件が揃っています。 経営者の工夫ひとつで、現場から大きな力を生み出すことが可能です。 1)見える化 2)やる気を引き出す動機付け 3)フォローと評価 三位一体となった工場経営を目指します。 儲かる工場経営では欠かせません。2.若手人財ならではの能力を大いに生かす
造った製品が黙っても売れていた時代は過ぎました。 従来のやり方で、付加価値を拡大させることは絶対に不可能です。 国内市場の成熟化に直面した現在、「視点」を変えねばなりません。 注目すべきは、売上高ではなく、付加価値です。 国内総生産(GDP)は国内で生み出された付加価値の総額と定義されます。 下記のグラフはGDP(実質)の推移です。 (出典:内閣府「国民経済計算」)
90年代の平成バブル崩壊の頃を境に、伸びが低下しています。
これは、製造業の労働生産性が伸びにくくなった時期とも一致しています。
(工場運営で全体最適の指標は重要である。)
伸び低下の背景に、サービスや情報通信技術(ICT)の高度化を挙げている方がいます。
・ICTの発達で、従来まで普通に存在していたものが、不要となり減る。
・サービスの高度化で、同様のサービスが、従来にはない価格で受けられる。
ここで、平成バブルが崩壊した90年を基準に、25年前と25年後を比較します。
1990年を基準にすると・・・、
1)25年前の1965年前後とのGDPの差額 約300兆円
2)25年後の2015年前後とのGDPの差額 約100兆円
平成バブルが崩壊した後の25年間で増えた
付加価値の総額は、崩壊前の25年間で増えた付加価値の総額の「3分の1」です。
一方、平成バブル崩壊の前の25年間と後の25年間で実感できる生活の利便性を比較すると・・。
なるほど、消費者の立場から判断すると、悲しむべきことばかりではないようです。
安価に高度なサービスを活用できるようになったわけですから。
ただし、逆に、供給者側に立って考えると、どのように解釈できるでしょう。
ニーズを的確にとらえて付加価値生産性を高めた会社のみが選ばれ、成長するということです。
それ以外の会社は淘汰されます。
中小製造企業は、こうした外部環境変化に直面しています。
こうした変化に対応するには、市場ニースをとらえるだけでは不十分です。
付加価値生産性を高めます。
貴社の製品を、競争力ある価格で提供しつつ、収益確保も必要です。
したがって、利益を積み上げる現場の地力が求められます。
売上高のみに注目した工場経営では成長を実現できません。
新たな付加価値の創出は最大の経営課題です。
今後、高付加価値化の重要性は高まります。
造れば売れる時代は終わっているからです。
さらに、今、売れている製品を造っても、継続的に売れるとも限りません。
新たに売れる製品を創出せねばなりません。
そのためには新たな市場も創り出さねばなりません。
過去の成功体験にとらわれない発想や時代を感じるみずみずしい感性が必要です。
これからは”若手人財の成長”が、工場の将来には欠かせないのです。
若手人財ならではの能力を大いに生かすことが、工場の存亡に関わります。
従来の延長で、競合と同じことをやっていても生き残れません。
3.若手人財を”意識して”教育する
若手人財を”意識して”教育することが重要です。 ”意識して”教育することが必要な背景は2つあります。 1)教育は「計画的に」進めるべきものだから。 2)教育は「自覚させるために」やるものだから。
人財は、一朝一夕で、育成されません。
また、いくら研修を一生懸命こなしても、若手人財は一人前にはなりません。
若手人財が育成される場は、唯一、現場です。
そして人財育成には時間がかかります。
5年、10年スタンスです。
手間も労力もかかる人財育成です。
人財育成ではゴールを明確にする必要があります。
いつまでに、若手人財には一人前になってもらいたいのか。
工場の現状を踏まえ、若い力が重要な役目を担う時期を設定するのです。
5年後なのか、3年後なのか、それとも、今すぐからでも頑張ってもらいたいのか、ということです。
人財育成では、納期を明確にすることで、教育側の姿勢が固まります。
さらに、経営者が自ら、その教育目的や期待するところを若手人財に明確に語るのです。
「育成される」彼らの自覚を促します。
経営者から期待されていることを知った若手人財のモチベーションは、確実に高まります。
”意識された”教育が、若手人財を成長させるためには必要です。
そして、教育の場として、モノづくりの現場を大いに活用します。
