戦略的工場経営ブログ長期的な視野でやる気を引き出しているサントリー
動機付けとなる長期的な視野や想いを現場へ繰り返し、伝えていますか?
1.経営者の想いと成功へのシナリオ
ご依頼をいただいた企業様をご支援する際、お聞きしている2つのことがあります。
・5年先、10年先を見通して実現させたい経営者の想い
・成功へのシナリオ
人時生産性を高めるのに、生産管理で生産の流れをつくり、
人材育成することを目指すわけですが、
そもそも大きな目的がなければ、大きな成果も出ません。
5年先、10年先の将来のために今があり、
今は過去の結果ですから、
経営者がこの連鎖を意図的に、
意思を持って、
コントロールしている中小製造企業が
儲かる工場経営を実践できるのです。
そうした企業の意思決定の判断基準は
長期的な視点であり、
経営者の想いを実現させることへ全社のベクトルが揃いやすくなっているからです。
短期的な視点も、長期的な視点があってこそ意味が出てきます。
長期的な視点がない状況での短期的な視点は、単なる思い付きに過ぎません。
朝令暮改も、
深慮遠謀の長期的な視野があってこそ
意味深いものになるわけで、
そうでなければ、現場は単に振り回されるだけです。
振り回される現場とは、
言い換えると「やらされ感」たっぷりの現場ということです。
大きな目的、
つまり長期的な視野を持ち、
それを現場と共有することで、
経営者の想いを実現させる雰囲気が醸成されるのです。
弊社のご支援は、当然、”今”の現場を対象にしています。
ただし、あくまで、経営者の想いを反映させた長期的な視野を踏まえてのことです。
なぜ、それをしなければならないのか、
現場に、取り組みの必然性を感じてもらうのに、これ以上の理由はありません。
大きな目的はやる気を引き出す3項目のひとつです。
2.社員の誇りが企業を永続させる
2018年1月4日日本経済新聞に
サントリーホールディングス社長新浪剛史氏の主張が掲載されていました。
2018年はESGの取り組みが加速され、
グローバル企業は、
健全な社会と自社の成長が、
トレード・オフではないことを示さなければならないと主張しています。
ESGとは環境、社会的責任、ガバナンスを重視する考え方です。
企業の継続性という観点では、
ゴーイングコンサーン、
サスティナビリティという考え方がありますが、それらと極めて親和性の高い概念です。
新浪氏は、この継続性を実現させるのに必要なのが、長期的な視野だと説明しています。
企業にとっては収益をあげることが絶対に欠かせない。
ただ持続可能な収益の拡大には健全な社会が必要となる。
社会の支援がなくては企業は永続的な存在になり得ない。
では、社会から支援を受けられる企業とは何か。
社会に貢献できる企業だ。
社会に何を貢献できるかが問われる。
今日やって、明日やめる、といった短期的な視点ではだめだ。
長期の取り組みが大切だ。
(出典:2018年1月4日日本経済新聞)
そして、このEGSの取り組みでは社員の動機付けが重要だとも説明しています。
社員が自社に誇りを持てば一致団結にもつながるからです。
サントリーの創業者・鳥井信治郎は利益三分主義を信念としていたそうです。
事業で得た利益は
「事業への再投資」
「得意先・取引先へのサービス」
にとどまらず「社会への貢献」にも役立てるという考え方を示しました。
この理念のもと、
サントリーでは、
水源確保につながる森林保全活動などを進めています。
こうした社会貢献も含む
長期的視野に立った考え方は、
買収した企業へも波及しているようです。
14年に米蒸留酒大手ビーム
(現ビームサントリー)を買収したが、
ビームの幹部は利益三分主義が当社、理解できなかった。
しかし、来日して森林保全活動を見てもらうと、彼らも必要性に気付いてくれた。
実際、彼らも
家族に自慢できる試みだと張り切り、
米国のウイスキー蒸留所の周辺で自主的に森林保全を始めたのだ。
社員のやる気が盛り上がれば、ウイスキーの品質向上につながる。
ビジネスもよくなり、地元へも貢献できる。
正のサイクルが生まれる。
当社ではもともと、創業者がやる気を高める環境を作り上げてくれ、それを引き継いできた。
こうした環境づくりは経営層の強いコミットメントが欠かせない。
(出典:2018年1月4日日本経済新聞)
長期的な視野を示して、現場へ何を感じさせるかは、経営者次第ということです。
経営者の想いを示すのは、経営者にしかできません。
大きな目的があってこそ、現場は目の前のいざこざにも頑張って取り組もうとするのです。
まずは、長期的な視野、経営者の想いです。
サントリーでは社会貢献も掲げ、社員に誇りを持ってもらい、やる気を引き出しています。
長期的な視野や想いが収益につながる儲かる工場経営の仕組みづくりをしませんか?