しばらくぶりに足を運んだオートサロンではこれまでとは違った観点で会場を眺めました。多くの人を集めているブースはどのような特徴があるか、です。なにせ”クルマ”の展示会です。周りは当然にクルマだらけです。それも腕によりをかけてカスタマイズされたクルマがあちらこちらに並んでいます。それが850台も。少々の工夫では目立ちません。こうした状況下で自社のブースへ足を運んでもらうためには・・・・。こうした場での”ブランド力”はやはり絶大です。大手自動車メーカーのブースは多くの人を集めていました。規模も大きいですし、人目を引くイベントも盛りだくさん。私がホンダのエリアへ行った時、中島悟氏のトークショーをやっていました。中島悟氏は日本人初のフルタイムF1ドライバー。20分程度聞き入ってしまいました。”ブランド力”のパワーはすごい。ブランド力は、なにかやってくれるだろうという”期待”を生みます。中小モノづくり企業も長期的には獲得したいパワーです。少数でもイイので自社のファンを作っていくことです。地域に絞ったブランド力でも十分です。こうした”ブランド力”で人を集めるのは王道です。さて、王道は王道として、それ以外で人を集めていたところはないのか・・・。会場を見回して気が付いたことが3つありました。1)車を使って何ができるか、何ができたかを明確に表現していた展示2)技術のことを”徹底的に”、素人でも理解できるように説明していた展示3)”エッ”と意外性を感じさせる展示会場に足を運んだのは最終日の昼近くです。入場者数がピークにある時でした。ですから、会場はどこも移動もままならないほどに混んでいました。そうした中でも、人の密度には濃淡はありました。多くの人が足を止め、人だかりができていたブースはやはり他の場所より存在感があります。上記に挙げた1)項と2)項は、まぁ当然のことです。そもそも、多くの人が期待していた”コンテンツ”なのですから。これら以外の3)項で人を集めていたところに興味をひかれました。”エッ”と意外性を感じさせる展示とは、基本的に車以外の要因で大いに興味を引いたということです。こんなブースがありました。最初に入場したホールで、”異様に”家族連れが集まった展示ブースがありました。早速、覗いてみると・・・。ウルトラマンが立っていました。「A MAN of ULTRA」というブランドを展開している企業のブースでした。「ウルトラな男を創り出す」をコンセプトに各種商品を展開しているようです。ウルトラマンをモチーフにしていました。そこがトヨタの86(スポーツカー)をベースにしたカスタマイズカーを開発しました。その名も「M78×86」。遊びではなく大人向けのデザインです。なるほどカコイイ。ウルトラマン世代の私も気になる展示でした。このカコイイ車と一緒に参加していたのがウルトラマンです。子供はウルトラマンと一緒に写真を撮ってもらい、お父さんは「M78×86」に乗り込んで興味津々。家族連れの足が止まらないわけがありません。多くの家族連れが並んでいました。まさかウルトラマンに会えるとは、というところでしょう。カスタマイズカーの展示会で大人も子供も楽しめるキャラクターを登場させた意外性。他の展示ブースで、これほど強烈なキャラクターはありませんでした。もうひとつ、人を集めていたという観点ではずせないのはコンパニオン。コンパニオンがいるところは、当然に人を集めていました。これは昔からなので、珍しいことではありません。が、ヨクヨク見ると、人の集まり方に”迫力”の違いがありました。コンパニオンの皆さんは見た目華やかです。コンパニオンの人数が多ければ、多いほど人を集めやすい。そうした中で、コンパニオンが”一人”であるにも関わらず、思いっきり人を集めていたブースがいくつかありました。それは・・・・・、猫耳やメイドのコスプレのコンパニオンが登場したブースでした。ここまでくると、クルマに興味がある方々とは別の趣味の方々の集まりということかもしれませんが・・。ただ、人が集まるところには、さらに人が集まりやすいようです。結果として、そうしたブースでは多くの見学者が展示物を見ていました。あの手この手で人に見てもらおうという工夫で、”意外性”は役に立つ観点です。なにせクルマだらけの展示会です。単にクルマを展示しているだけでは周囲に埋没します。どうやって自社のブースに人に集まってもらおうかと考えるわけです。「ウルトラマン」や「コスプレ」。まさか、ウルトラマンが会場に立っているとも思いませんでした。「車のショーでコスプレかねぇ。」という言葉も何度も会場で耳にしました。意外な対応が人を引き付けるのも事実。人を引き付けたうえで、本題に入る。ウルトラマンやコスプレを登場させた意外性に引き付けられ、結局そのブースの展示も見た人も少なからずいたはずです。