戦略的工場経営ブログ20年製造業労働生産性水準の国際比較

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(1) 国民1 人当たりGDP の国際比較

毎年、12月に(公益財団法人)日本生産性本部から労働生産性の国際比較データが発表されます。昨年12月にも2020年データが発表されました。

グローバルでどの水準にあるのか知ることは重要なことです。中小製造業の戦いの場は国内に留まりません。世界の実力を知らなければ勝つことはできないのです。

「彼を知りて己を知れば、百戦して殆うからず」です。そもそも、日本の低生産性は以前から指摘されている問題です。製造企業経営者は知っておく必要があります。貴社水準把握のためです。

国民1 人当たりGDP の国際比較です。

2020年 41,775ドルで、OECD加盟38カ国中23位
 2019年 43,279ドルで、OECD加盟37カ国中21位

「経済的な豊かさ」は国民1人当たり国内総生産(GDP)で評価できると言われています。

2020年、日本の国民1人当たりGDPは41,775ドルでした。OECD加盟38カ国中23位で米国の2/3程度に留まります。2019年は43,279ドル、37カ国中21位でしたから、順位を落としています。

日本の国民1人当たりGDPは、1996年にOECD加盟国中6位の水準になったことがあります。主要先進7カ国でも米国に次ぐ水準 でした。

しかし、1990年代後半から他の主要国の後塵を拝するようになったのです。国内GDPの右肩上がりが横ばいになったのもこのころです。2000年代に入ると主要先進 7カ国の中で下位が定位置となりました。最早、日本は豊かな国とは言えないようです。

(2) 就業者1人当たり労働生産性の国際比較

2020年 78,655ドルで、OECD加盟38カ国中28位
 2019年 81,183ドルで、OECD加盟37カ国中26位

経済的な豊かさを享受するには、より少ない労力でより多くの経済的成果を生み出すことが重要であり、代表的な指標の1つが労働生産性です。

2020年の日本の就業者1人当たり労働生産性は、78,655ドル でした。これは、OECD加盟 38カ国の中で28位になります。

米国 (141,370ドル)の56%でしかありません。2019年は81,183ドル、OECD加盟 37カ国中26位でした。

(3)就業1時間当たり労働生産性の国際比較

2020年 49.5ドルで、OECD加盟38カ国中23位
 2019年 47.9ドルで、OECD加盟37カ国中21位

近年は、働き方改革により長時間労働に依存しない働き方を模索する動きが定着しました。より短い時間でどれだけの成果を生み出せているかを定量化した指標「 就業1時間当たり労働 生産性」も重要となります。

弊社のプロジェクトではこの指標を重視しています。人時生産性です。

2020年の日本の就業 1時間当たり労働生産性は、49.5ドルで、OECD加盟 38カ国の中で23位です。2019年は81,183ドル、OECD加盟 37カ国の中26位でした。

主要国で比較すると、英国 (69.3ドル )やドイツ (76.0ドル )、フランス (79.2ドル )の欧州諸国大きく離され、米国 (80.5ドル )は日本の約 1.6倍となっています。主要先進7か国での日本の順位は1970年以降、ずっと最も低い順位のままです。

(4)製造業の労働生産性水準の国際比較

2019年 95,852ドルで、労働生産性水準上位20か国中18位

ドイツ (99,007ドル)や韓国 (96,312ドル)をやや下回る水準であり、主要国でみると、イタリア (76,980ドル)を上回るものの、フランス (105,157ドル)や英国 (102,219ドル)によりも明らかに低いです。米国(14,8321ドル)の65%程度に留まっている。

今は振るいませんが、1995年、2000年はOECD諸国でもトップクラスでした。しかし、その後、順位を落として現在に至っています。

日本の製造業労働生産性の国際順位(上位20か国)は次の通りです。

90年 1位
 00年 1位
 05年 9位
 10年 10位
 15年 17位
 19年 18位

2000年と2019年での欧米主要国、製造業労働生産性上昇率は次の通りです。

日本 86,184ドル(2000年)  95,852ドル(2019年) 11%増
 米国 78,896ドル(2000年) 148,321ドル(2019年) 88%増
 独国 55,062ドル(2000年)  99,007ドル(2019年) 80%増
 英国 61,376ドル(2000年) 102,219ドル(2019年) 67%増
 仏国 62,051ドル(2000年) 105,157ドル(2019年) 69%増
 伊国 47,533ドル(2000年)  76,980ドル(2019年) 62%増

とにかく、上昇率が低いのです。

2000年でトップだったのに、その後、各国に抜かれ大きく水をあけられています。2000年頃まではグローバルに競争力がありました。が、その後がいけません。

「技術立国」と語るのを憚れるような状況にあります。日本では何かが間違っているのです。日本には何かが不足しています。

グローバルに外部環境は変わりました。
・その変化に気付いていないのか?
・気付いているけど今までのやり方のままでいようとしているのか?

どちらかです。

(5)付加価値額を積み上げる

国内製造業から生み出される付加価値額の半分は中小製造企業です。また製造業従業者のうち65%が中小製造企業に従事しています。

中小製造企業の生産性向上が全体へ及ぼす影響は小さくありません。中小製造企業にも、本気で仕事のやり方を見直す時が来たのです。

なぜ生産性が伸び悩んでいるのか?

上昇率で先進諸国に後れを取った原因はいろいろと考えられます。


・従来の売上高至上主義のままやってきた。
・付加価値額の積み上げに挑戦しなかった。
・新技術の開発に挑戦しなかった。
・コア技術(固有技術と管理技術)のブラシュアップをやらなかった。
・新規顧客開拓に挑戦しなかた。
・若手の人材育成に力を入れなかった。
・必要な知識やスキルを習得しようとしなかった。
・納期だけを守っていれば問題ないと考えていた。
・製販一体のチーム力を整備しようとしなかった。
・新たなやり方に否定的なベテラン勢を放置した。
・お客様に選ばれる付加価値額の高い商品やサービスを開発しなかった。
・付加価値額の小さい従来製品に依存しすぎた。
・・・・・・

薄利多売で価格競争の事業モデルを続けていれば現場も疲弊します。価値創出どころではありません。気が付くと、先進諸外国は先へ行ってしまいました。

付加価値額の創出に力を入れなければなりません。コスト削減だけでは限界です。「積み上げ」の感覚を持つ必要があります。「詰めて、空けて、取り込む」です。さらにはお客様に選ばれる新たな価値の提供を考えます。

・詰めて、空けて、取り込む
・お客様に選ばれる新たな価値の創出
この2つに時間を割くのです。これしかありません。

少々の失敗や無駄は無視しても構いません。大義成就のためです。
・トライ&エラーの積み重ね
・PDCAサイクルの高速回転

不確実性の高い今、変化へ対応するにはスピードが求められます。GAFAの例を挙げるまでもなく、中小製造企業も、力点の置き方をこれまでと変えなければならないのです。生き残るためです。

中小製造企業は少数精鋭です。少ない工数で最大限の効果を出そうと考えるなら、捨てなければならないものもあります。そうして試行錯誤の機会を増やし、お客様に選ばれる新たな価値を生み出さなければなりません。

とにかく、下記の状況を打破しなければなりません。

(1)国民1 人当たりGDP の国際比較
2020年 41,775ドルで、OECD加盟38カ国中23位

(2)就業者1人当たり労働生産性の国際比較
2020年 78,655ドルで、OECD加盟38カ国中28位

(3)就業1時間当たり労働生産性の国際比較
2020年 49.5ドルで、OECD加盟38カ国中23位

(4)製造業の労働生産性水準の国際比較
2019年 95,852ドルで、労働生産性水準上位20か国中18位

少子化で人口減少に直面している私達に残された時間はそれほど多くないのです。貴社もできることからです。弊社も挑戦し続けます。

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