戦略的工場経営ブログ自社の強みがわからなければ顧客に聞け!
貴社では強みを的確に把握できていますか?
1.ダイヤ精機株式会社の強み
自分の強みは、意外と、自分では気が付かないものなのかもしれません。
日経ものづくり2017年12月号に、ダイヤ精機株式会社代表取締役 諏訪貴子氏のインタビュー記事が掲載されていました。
同氏は父親の急逝をきっかけに専業主婦から30代で社長に就任した方です。
社長就任当時、会社は身売りの危機に直面していました。
そして、当初は撤退を考えた「ゲージ」を事業の柱に据えて経営を立て直したのです。
ダイヤ精機は東京都大田区に工場を有する従業員30~40人規模の中小製造企業です。
本やドラマでも取り上げられている企業なので知っている方も多いかもしれません。
金型や精密部品などの設計、製作、
販売を手掛ける加工メーカーであり、
各種ゲージの設計、製作が売上高の半分を占めています。
諏訪氏は、社長就任当時、
自社が手掛けている測定冶具「ゲージ」の強みに気が付かなかったようです。
自ら客先へ足を運び、
営業活動に汗をかいているうちに、
そのことに気が付ついたとのこと。
多くの中小企業の経営者は、自社の強みを認識していないのではないかとも諏訪氏は語っています。
既に、
他社に負けない強力な武器を
持っているのに、
その事実を認識していない経営者も
中小企業には少なくないように感じます。
実は私もそうでした。
でも、思い立ったらすぐ電話を掛け、
顧客を回って情報を集めているなかで、
顧客に教えてもらって「うちにしかできない」にようやく気が付いたのです。
強みがあれば
価格も多くの場合は、当社の希望通りで買ってもらえます。
だから収益性が上がる。
取引先も増えます。
リスクを恐れずに、
ニッチな精密加工技術を残し、
その価値に気づいたおかげで、
経営の屋台骨を築けました。
(出典:日経ものづくり2017年12月号)
自社の強みがわからなければ顧客に聞け!です。
弊社でも、ご支援する現場が有しているコア技術分析は欠かせません。
生産の流れをつくる儲かる生産管理の仕組みづくりがオーダーメードになるのは、この強みが現場独自だからです。
ですから強みの把握は、ご支援を成功裏に終えるために不可欠です。
コア技術は、固有技術と管理技術から構成されます。
特に後者は、その現場の組織風土や組織文化にも影響されるものです。
内部の関係者には感じにくいところかもしれません。
したがって、強みの分析、
つまりコア技術分析は、外部の力を借りるのも効果的なのです。
だから、自社の強みがわからなければ顧客に聞け!です。
諏訪氏はそうして、自社の強みを認識し、それを事業の柱に据えました。
大規模な組み立てゲージを
設計・製作できるメーカーは、
ダイヤ精機を含めて国内に5社しかないことも
自動車メーカーの担当者から聞いたそうです。
顧客はなんらかの理由で貴社を選んでくれています。
その理由を知ることは、コア技術分析の貴重な手がかりとなるのです。
2.顧客に言われて認識した強み
10人程度の機械加工現場の管理者時代、自社の強みは、
突発案件へ柔軟に対応できることだろうと考えていたことがありました。
夕方や(まれに)夜に、
特急対応の案件を持ち込まれても、
現場対応力のおかげで十分な仕事ができていました。
こうした案件の値付けは、こちらのペースででき、利益率も高かったです。
そうしたこともあって、現場の強みは突発案件への対応力と考えていました。
ある時、顧客へ「うちが優れているところは何だと思いますか?」と尋ねたことがあります。
突発対応への・・・というコメントが出てくると思いきや、
あにはからんや、「不完全な図面や図面なしでも対応してくれるところ」でした。
つまり、エンジニアリング力だったわけです。
その現場には、メカに大変強い方がいて、顧客の困りごとを図面化して対応していました。
そちらの価値の方を顧客は評価していたわけです。
そこで、その後、採用した学卒の新入社員を
その方の部下にして、エンジニアリング力を強化したことがありました。
コア技術を把握しそれを強化することで、顧客へ届ける価値(コト)を高めることができます。
・弱みを克服する。
・強みを強化する。
どちらも大切なことですが、弊社では後者を優先させます。
コア技術がすべてであると考えているからです。
ここで誤った判断をすると、貴社の船は山に向かって進んでしまいます。
せっかく頑張ってもとんでもない方向へ行ってしまうのです。
ダイヤ精機の諏訪氏も顧客の話で気が付きました。
貴社のコア技術、強みを顧客へ聞いてみませんか?