戦略的工場経営ブログ開発リードタイムと開発工数の正の相関に注目する
開発期間の短いプロジェクトは開発効率も高いという事実をご存知ですか?
1.開発リードタイム
中小現場で開発業務の効率を高めるポイントは納期です。 生産活動と同様に時間軸を意識する環境を整備します。 そして開発業務の情報を現場と共有して組織での開発能力を高めるのです。 (開発業務をやり切るために、まず○○を設定する) 生産活動では、ロットを小さくし、段取り時間を短縮しながらリードタイムの短縮を図ります。 「超短納期」は付加価値額アップにつながる可能性があるからです。 開発業務も同じです。 競合に先んじて新商品を投入する。 業界が認識する前に潜在的なニーズに応える新商品を投入する。 独自性を極めて、潜在的なニーズを発掘します。 規模を追いません。 ニッチな分野に着目して、高収益を上げ続けるモノづくり戦略をたてるのです。 そこでは、得意の小回り性や機動性、柔軟性が生きます。 先行者利益も獲得できるでしょう。 技術開発や製品開発のスピードを上げ、開発納期を短縮する。 つまり開発リードタイムの短縮によって自社製品(サービス)の付加価値額を高めるのです。 開発業務も生産業務と同様にリードタイムを短縮することで付加価値額をアップさせられます。2.開発工数と開発リードタイム
競合に先んじて、潜在的なニーズに応えた商品(サービス)を市場に投入することを目指します。 競合に先んじるならば、タイムリーに新商品(サービス)を生み出す仕組みが欠かせません。 開発リードタイムの短縮も課題です。 そうなると、 短い開発リードタイムを実現させるのに、 どれだけの手間(人工数)がかかるのか気になってきます。 例えば、それまで1年かけて開発していたのを、半年に短くすることを考えましょう。 普通に考えると、期間を半分にするためには、投入する人工数は倍にする必要があります。開発期間 | 開発工数 |
1年 | 10人 |
半年 | 20人 |
一般に経済学の教科書では、 開発リードタイムと 開発工数(開発コスト)の間には、 トレードオフ(負の相関)関係があるとされる。 つまり、 リードタイムを短縮するためには、 開発工数を増やす、 つまり開発生産性を 犠牲にする必要があると仮定される。 この場合想定されるメカニズムは、 開発期間の短縮のために プロジェクト人員を増やすことが、 プロジェクト内調整の複雑化や 作業の重複を通じて、 開発工数の増加を招くというものであろう。 しかし、 自動車産業に関する前述の実態調査を見ると リードタイムと開発工数の間には トレードオフは見られず、 むしろ、 開発期間の短いプロジェクトは開発効率も高い、という正の相関関係が見られる。つまり開発工数と開発期間の相関を模式的に表現した場合、下図のようになると言うのです。 一般的に、赤色のAのラインが予想されます。 しかし、自動車産業では意外にも緑色のBのラインであったということです。 忙しい人ほど仕事がよくできる、というのに近い感覚です。(出典:生産マネジメント入門Ⅱ 藤本隆宏先生)