戦略的工場経営ブログ工程分析で、価値を生まない工程が多いことに気づく

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生産ラインの全体の流れを分液する手法、工程分析を活用していますか?  

1.カイゼンの対象の範囲を設定する

「人」視点のIEで、カイゼン対象は4つです。 生産工程、付加価値作業、要素技術、動作。 IEでカイゼンを科学的に進める   生産現場を大きく、全体の流れを見るところから始めます。 そして、現場を、作業者の動作のレベルにまで分解します。 現場を大きく見て、概要を把握してから、細かく見ていくわけです。   したがって、カイゼンでは、対象の視点を明確にすることが大切です。 カイゼンの対象が森なのか、木なのか、幹なのか、枝葉なのか。   カイゼンの効果が、どこまで波及するかをあきらかにするためです。 そして、それがどのような変化へつながるのかを見極めます。     例えば、生産工程の工程順序の変更は、その効果は、生産ライン全体へ波及します。 一方、動作レベルのカイゼンは、作業者の単位で波及します 効果が波及する範囲を見極め、適切な解決方法を選択するのです。   動作レベルでも、成果が得られれば、効果は、さらに広範囲へ波及します。 例えば、作業者の負荷が軽減された陰で、現場のモチベーションが上がった職場を想定しましょう。 そうした現場からは、やる気が引き出されます。 頑張りたくなるからです。 自律性の高まりが期待されます。 その結果、PDCAが自然と廻る仕組みが出来上がったりします。 こうしたケースでは、カイゼンの対象の範囲は狭く、小さくても成果は絶大です。              

2.生産工程に着目したカイゼン:工程分析

  まずは、現場の流れをマクロ的に捉えます。 工程分析は、現場の流れ、つまり生産工程に着目した分析です。   生産管理用語辞典では、「工程」を以下のように定義しています。
「入力を出力に変換する、相互に関連する経営資源及び活動のまとまり」
  工程のアウトプットは、次工程のインプットです。 ですから、工程を設定する時は、区切りを意識します。   工程は次の3項目で説明できます。 1)その工程のインプット 2)その工程のアウトプット 3)その工程の目的 これらが、工程の3要素です。   さて、生産工程を分析するために、現場を「工程」に分解します。 一見複雑そうに見える生産ラインですが、生産工程を構成する「工程」は4種類です。 1)加工工程 2)運搬工程 3)検査工程 4)停滞工程 生産工程で起きていることは、この4つで表現されるのです。 したがって、工程分析とは、現場の活動を4つに分類する作業となります。   さらに、工程分析の分析目線は2つです。 「製品目線」と「作業者目線」。 目的によって、分析目線を使い分けます。 problem-663332_640 生産現場を「製品」目線で説明すると、下記のように表現されます。 ・製品は、付加価値を加えるために加工される。 ・製品は、次工程に移るために運搬され、数量及び品質を検査される。 ・現場の停滞品には、計画的なものと計画的でないものの、2種類ある。   一方、生産現場を「作業者」目線で説明すると、下記のように表現されます。。 ・作業者は、付加価値を加えるために加工をし、数量及び品質を検査する。 ・作業者は、製品を持って運搬し、製品を持たずに移動し。場所を変える。 ・作業者は、何も無い時は、手待ちや加工待ちで待つ。   どちらの目線にしても、生産工程は4つの工程で表現できるのです。 「加工」「運搬」「検査」「停滞」。 4つの工程を、製品目線と作業者目線、それぞれの目線で分析した各工程の内容を下表に示します。
工程 製品目線 作業者目線
加工工程 付加価値を加えられる  付加価値を加える
運搬工程 運搬される 製品持って運搬
製品持たずに移動
停滞工程 計画的に停滞:貯蔵 手待ち・加工待ち
計画なしに停滞:滞留
検査工程 数量検査される  数量検査する
品質検査される  品質検査する
製品目線、作業者目線、各々6つの欄で構成されています。 工程の流れを見える化して、「今」を知ります。      

3.工程分析の目的

生産の目的は、価値が低い財の価値を高めることにあります。 つまり、価値を加える、高付加価値化です。   ですから、生産工程で重要なのは、価値を加える工程です。 大別された4つの工程で、唯一、価値を加えるのは、「加工工程」です。 他工程では、価値を生みません。   工程分析をすれば、価値を生まない工程が、いかに多いのか気が付きます。 この気付きこそが、工程分析の目的です。   中小製造業の現場では、機能別に設備を配置したレイアウトが多いです。 このレイアウトでは、「運搬工程」が目につきます。   運搬は、トヨタ生産方式の7つのムダのうちのひとつです。 必要な工程ではありますが、運搬で、製品に価値が、加わることはありません。。 工具を取るために作業者が移動しても、同様です。 製品自体の価値は高まりません。   作業者が忙しそうに動き廻っている現場は、儲からない工場と言われる所以です。 儲かっている工場の現場は、一見すると”動き”がなく、整然としています。 目指すべき工場の状態はそんな感じです。 工程分析を使うと、価値を生み出す工程が、価値を生み出さない工程に埋もれていると実感できます。     「これでは儲からないな。」 現場が、目で見てムダを理解することから、カイゼンは始まります。 工程分析で、ムダを見える化します。   工程分析で、現場と、ムダへの認識を共有しませんか?   株式会社工場経営研究所 「儲かる工場経営」メルマガ ご登録ください。 毎週火曜日配信中。 https://48auto.biz/koujoukeiei/registp.php?pid=3
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