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1「巨額投資のリスク」と向き合うために必要なこと

 「今は相当安定した。眠れない夜を過ごすことはほとんどない。」

 ソフトバンクグループ会長兼社長、孫正義氏の言葉です。

 

 ソフトバンクは通信事業で成長してきました。そして、現在、孫氏はソフトバンクを「通信会社」から「投資会社」へ転換させようとしています。目指すは投資会社です。

 ですから、向き合わなければならないことがあります。

 「巨額投資のリスク」です。

 

 孫氏は、「巨額投資のリスク」と向き合いながら、成功と失敗を重ね、苦しい戦いや試練を何度も経験して、大事なことが分かったと語っています。

 その大事なこととは・・・。

「攻めと撤退を自由にコントロールできるようになること」

 攻めと撤退を自由にコントロールできるようになってからは、眠れない夜を過ごすことはなくなったそうです。

 

 

 

 

 

2.コントロールするのに必要なこと

 コントロールするために必要なものがあります。

 判断基準です。

 

 孫氏は判断基準を持っています。ソフトバングGの時価総額10挑円規模に対して、保有株式価値の合計が20~30兆円規模。

 どこまで投資をしていいのか、判断する基準がなければ、「眠れない夜を過ごす」ことになるであろうことは想像に難くないです。

 

 判断基準も持たず、闇雲にやっていては、投資とは言えず、博打や賭けと変わりません。孫氏の判断基準は次のようなものです。

「未踏の世界へ行くと言うことは、攻めるということ。攻めないことがむしろ1番、リスクだ。攻めない日本型経営の多くは危険だ。我々はがんがん攻めるため、普通の会社以上に守りにも気を配る。トカゲの尻尾は3割くらい切っても生えてくる。それ以上切ったら死んでしまう。僕の目線も3割がリスクの許容範囲。7割残れば安全だ」

「これを具現化したのがローン・トゥ・バリュー(LTV:純負債を保有株式価値で割った値)を25%未満に抑えるという基準だ。(中略)異常事態が起きても、LTVは30~35%に抑えるが、これは黄色信号だ。(中略)今はこれが15%という「快適ゾーン」にあるから全然怖くない。」(出典:日本経済新聞2019年7月28日)

 判断基準のおかげで「眠れない夜を過ごすことはほとんどない」状況に至ったというわけです。

 

 

 会社の規模に関わらず、儲かる工場経営を標榜し、豊かな成長を実現させたいと考えるなら、判断基準が絶対に欠かせません。

 現場改革、意識改革、構造改革、3つの改革を「一体化」「見える化」「収益化」、3つの羅針盤で進めるのに必要なのは判断基準です。取り組みの善し悪しを計測するツールと言い換えられます。

 

 昔の航海では、位置を知るために、羅針盤加えて、北斗七星や南十字星も使われた言われていますが、判断基準は正しい方向を読み取る星座の役割を担っているのです。

 結果オーライの航海は危なくてやっていられません。羅針盤に沿って進んでいるが、本当に儲かる体質に変わっているだろうか?経営者が最も知りたいことではないでしょうか?

 貴社にはどんな判断基準がありますか?

 

 

 

 

 

3.赤字職場を黒字化する取り組みで直面したこと

 弊社にも判断基準があります。これは、伊藤が大手から中小へ転職して40人規模の現場を管理する立場を担ったときに確信したことです。

 中小製造現場を管理する立場で、枕を高くして寝られるようにするにはこれしかないと。そのひとつが損益分岐点比率。

 

 社長の指示を受け、赤字職場を黒字化する取り組みに現場と邁進していたときのことです。

 取り組みを始めて、2年ほど経過した頃、東日本大震災が起きました。幸い、震災による直接被害はなかったのですが、もう少しで水面上に出るぞという矢先の出来事でした。

 

 震災の影響を受けて、受注量が一気に60%以上も減となったのです。自動車関連の仕事が多かったという事情もあったのですが、この売上高減は、当然のように職場の収益を直撃しました。

 当時、その職場の損益分岐点比率は95%以上でしたから、売上高減6割では、赤字がどうのこうのという水準ではなく、死ぬか生きるかです。

 

 実際、存続可否判断の話も持ち上がりました。万が一の対応も考えましたが、幸い、3ヶ月後に売上高が回復しました。事なきを得て、心の底からほっとしたことを今でも憶えています。

 孫氏の心配事と比べるとスケールが小さい話かもしれませんが、従業員と従業員の家族を守らなければならないという必死の想いでした。

 

 今、考えると、損益分岐点比率が90%後半で、枕を高くして眠れるはずはありません。

 特に、昨今、どんな外部環境の変化があるやも知れないのです。予告も無しに従来の受注がなくなることだってあります。長い付き合いのある顧客であっても、いきなりそうした対応をしてこないとは言い切れません。親会社と言えども、安泰ではなく、生き残りに必死です。

 

 10%や20%の売上減の状況にいきなり直面することも想定しなければなりません。弊社のご指導先で、今、まさに、そうした状況に陥り、必死になって挽回策を進めている企業様があります。

 そこの経営者も数ヶ月前まで、予測もしていない、突然のことでした。自動車関連の業界です。

 

 今や、かってのように、自動車業界に属していることが事業の安定に繋がるとは必ずしも言えなくなってきました。時代の流れは変化しています。

 変化する時代の流れを読み、我が社の事業が今、どんな水準にあるのか知っていないとゆっくり眠ることもできないでのはないでしょうか?

 

 一寸先は闇、蓋を開けなければ分からない経営では変化にも対応できず、ヒヤヒヤものです。中小製造企業経営者も、枕を高くして寝るための判断基準を持つべきです。

 弊社では、損益分岐点比率を判断基準のひとつとしてあげています。

 

 

 

 

 

4.こだわりの数値を軸にして考える

 詳細はセミナーや個別相談でお伝えしていますが、損益分岐点比率に着目すべき必然性があります。従業員の豊かな成長を願う経営者であるなら必ずそうなるのです。

 弊社のコンサルティングをご利用いただく経営者の方々には「将来投資型固定費戦略」に共感いただいています。豊かな成長を願う経営者の想いは固定費に込められるからです。

 損益分岐点比率を判断基準とすれば、攻めながら守ることができます。

 

 弊社の生産性UP体制構築では、このように考えていますが、唯一これしかないという答えはありません。

 ソフトバンクの孫氏はソフトバンクを「投資会社」として成長させたいと考え、保有株式価値にこだわりをもっているので、それを判断基準の軸としています。

 弊社は豊かな成長を実現させたいと考え、固定費にこだわりをもっているので、それを判断基準の軸としています。

 

 

 

 重要なのは、儲かる工場経営で、貴社がこだわる数値は何か?です。貴社の工場経営でも、こだわりの数値があるはずです。

 判断基準はそれを軸につくれます。教科書に書いてある経営指標に囚われることはありません。

 

 〇〇利益率とか、〇〇回転率ではシックリこないなぁと考えるなら、経営者自ら、こだわりの数値をもとに創ればいいのです。捉えたいのは変化ですから、それ十分です。

 伊藤が中小現場の管理者で黒字化を目指していたとき、把握したかったのは、儲かる体質に変わっているか、変わっていないかでした。絶対値よりも変化です。

 それが、たまたま、損益分岐点比率と付加価値額人時生産性でした。実務を通して行き着いた結論です。

 

 まずは、経営者ご自身が「眠れない夜を過ごすことをほとんどないようにするには?」、「枕を高くして寝られるようにするには?」と考えることです。

 答えはいろいろあります。

 貴社が持つこだわりの数値を軸に、独自の判断基準を創ってみませんか?

 

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