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値付けの主導権がありますか?

 

1.付加価値額を積み上げる

付加価値額の積み上げを図るとき、欠かせない論点があります。

”顧客視点”です

 

例えば、QCDを顧客視点で捉えると、やるべきことが具体的になります。

Q:顧客が潜在的、顕在的に希望する「コト」をピンポイントで提供できる。

C:顧客満足に見合う価格を設定できる。

D:顧客が欲しい時に届けられる。

 

いずれにせよ、商売の基本は、顧客に自社製品を選んでもらうことです。

どんなに生産性高く製品を造っても、選ばれなければ儲かりません。

 

そして、選んでもらうきっかけは、潜在的、顕在的なニーズです。

そのニーズを実現したときに顧客が感じる満足感の高さ次第です。

 

顧客が価値を認めてくれれば値付けの主導権を握れます。

ですから、中小現場での値付けでは、この満足度に注目したいのです。

 

昨今は、コストに利益を上乗せした”希望価格”で販売できるとは限りません。

価格の決定権は顧客にあります。

 

顧客の満足度が高いと、コストに関わらずその製品は高額商品となり得ます。

付加価値額を積み上げた価格を設定することが可能です。

 

高級車、高級時計を始め高級ブランドの消費財はそれらの典型ですね。

価値を顧客が認めているので、超高額商品にも関わらず、顧客から選ばれます。

高付加価値化によって付加価値額を積み上げるのです。

 

製造現場では、一般的に、技術の裏付けがあって高付加価値化が達成されます。

こうした技術に携わる現場は働きがいを感じるのではないでしょうか?

自職場の有能性を実感できるのでやる気が引き出されるからです。

 

高付加価値化の取り組みにはこうした効果もあります。

 

 

 

 

 

2.ユーザーが憧れる工作機械を造る安田工業

安田工業株式会社は岡山県にある資本金4,050万円、従業員約260名の工作機械製造メーカーです。

創業は1992年。

 

自動車や航空機の機械部品を加工する工作機械産業は日本が強い分野です。

国内には特色を持ったメーカーが多数存在しています。

 

その中でも安田工業はユーザーにとって「憧れ」の対象になっています。

売上高やシェアは小さいにもかかわらず。

 

同社の工作機械を広く知らしめているのは、工作機械の持つ「加工精度」です。

安田工業の工作機械は通常工作機械よりも2~3割高いのですが、その分、高い加工精度を実現できます。

その高い加工精度を持つ工作機械を使ってみたいという声が業界ユーザーには多いのです。

 

同社の安田拓人社長は次のように語っています。

工作機械は生産財なので、「憧れ」だけで売れるわけではない。

製品の価格に見合う価値を提供して、初めて売れるものである。

 

価格についていえば、安田工業の工作機械は競合他社よりも2~3割高いのではないか。

もちろん、その理由を「加工精度が高いから」などと説明することは可能である。

 

だが、価格以上の価値を

ユーザーが実際に感じられなければ、

どれだけ加工精度が高くても、

受け入れてもらえないはずだ。

(出典:日経BPリアル開発会議2016spring/summer)

消費財以上に生産財で顧客に価値を認めてもらうには技術的な裏付けが必要です。

「高い加工精度」を顧客がストレスなく感じて、初めてその価値を認めてくれます。

 

量産志向の大手企業が製造する水準の工作機械以上に完成度の高さが求められることでしょう。

なにせ、「高い加工精度」を売りにしているわけですから。

 

徹底的にコア技術を磨き上げ、他を凌駕する高度な技術レベルを目指します。

周辺技術も強化しなければなりません。

 

安田工業のHPでは、「YASUDAを支えるコア技術」が語られています。

”一貫して言えることは、「精度が最優先」ということです。”

他を圧倒する技術力で高精度な工作機械を造りたいという想いが伝わってきます。

 

高精度にこだわり、追求するきっかけは創業者の想いです。

安田社長は次のように語っています。

高精度を追求するという方針は、今こそ安田工業の経営戦略と呼べるようなものになった。

しかし、原点にあるのは、とにかく良いモノをつくりたいという純粋な想いだ。

その思いは、かって欧米のメーカーが造っていた高精度ま工作機械への「憧れ」とも言い換えられる。

(中略)

もともとは、高精度な工作機械を造りたいという創業者の純粋な思いが原点にあるのだが、それは理にかなった経営戦略でもあったと言える。

なぜなら、中小企業の安田工業にとって、量産機の領域で大手工作機械メーカーと競合するのは、極めて難しいことだったからである。

(出典:日経BPリアル開発会議2016spring/summer)

安田社長のおじいさんが創業され、お父さんが2代目の社長となっています。

ご両人ともに、とにかくあらゆる「機械」が好きで、創業当時の欧米の工作機械は憧れの的だったそうです。

そうした創業者の想いが会社の理念になっているモノづくり企業には、ぶれない柱があります。

 

それが、会社のDNAとして受け継がれる「こだわり」となり、経営者の想いが現場リーダーへ、各工程のキーパーソンへ、そして現場へ浸透しやすく、そのこだわりは、時間と共に「強み」になっていくのです。

 

 

 

 

 

3、顧客を絞って利益率を上げる戦略

同社のHPには基本理念として「最大ではなく最高を目指す」が掲げられています。

最高を目指して顧客を絞り込み、そこをターゲットにしているのです。

同社ではそれを、3層のピラミッドの図で説明しています。

 

工作機械の市場は大きく3つに分けられるとしています。

 

第一に価格への要求が厳しい「量産機」と呼ばれる領域。

加工精度の要求はあまり高くないが、量産志向の大手工作機械メーカーが得意とする。

 

第二にそれなりの加工精度が要求される領域で。

高品質な機械部品を加工するために、精度志向の中堅工作機械メーカーが対応する。

 

そして、安田工業はそのどちらでもない領域を狙っているというわけです。

最高の加工精度を要求するユーザー「だけ」を、ターゲットにしています。

 

安田社長は次のように語っています。

当然ながら、そのようなユーザーはあまり多くないので、市場規模は小さい。

それでも、価値を生み出すくらいの高い精度を追求していけば、事業として成立するのである。

(出典:日経BPリアル開発会議2016spring/summer)

通常品・一般品に対しては、高付加価値品が対比されます。

が、同社は、さらなる上位として超高付加価値という水準を設定しているのです。

図2

高付加価値のさらに上を狙う、つまりコア技術を極めることで狙う領域です。

モノづくりへのこだわりが、そこへ到達するための原動力となります。

安田工業では、高精度な工作機械を造りたいという創業者の思いが原点にありました。

 

顧客視点でコア技術で極め、高付加価値化のさらに上を行く超高付加価値を狙います。

「超高付加価値」事業の値付けならば、メーカー主導でできます。

 

規模を追わない、付加価値額の積み上げを狙う、中小現場が目指すべき事業形態のひとつです。

コア技術を意識した技術戦略が大切です。

 

顧客ニーズとコア技術を踏まえた技術ロードマップを考えませんか?

 

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