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人材育成のやり方が現場で発生する「ばらつき」の原因になっていませんか?

 

1.ばらつき

「ばらつき」という言葉があります。

モノづくりの現場ではいつも気にしていなければならないことです。

設計では公差、統計では標準偏差などで表現されます。

 

生産活動はいつも望ましい状況を維持できているわけではありません。

ある程度の「ゆらぎ」が生じます。

この「ゆらぎ」の結果、発生するのが「ばらつき」です。

 

設計や統計だけではなく、現場にも各種の「ばらつき」があることに注意を要します。

現場でも「ゆらぎ」は避けられないものだからです。

 

経営者は年度の初めに収益計画を立てますが、計画未達成に終わることがあります。

経営者の視点では、こうしたケースもある意味「ばらつき」があったと解釈できるのです。

現場を取り巻く外部環境や内部環境の「ゆらぎ」の結果、収益に「ばらつき」が発生したと考えられます。

 

儲かる工場経営では「ばらつき」に注視しなければなりません。

 

 

 

 

 

2.ある現場の工程分析での話

「ばらつき」は生産性に悪影響を及ぼす要因であり、また生産性悪化の兆候です。

改善活動のきっかけと捉えられます。

 

生産性向上活動のご支援をしている現場で工程分析をしていた時の話です。

 

中間製品を

ホイスト式天井クレーンで

工程Aから工程Bへ

搬送する作業の工数が大きくばらついていました。

 

そのラインでは多種多様な製品を扱っています。

したがって、

品種の違いによる

ハンドリングの負荷の差が

工数のばらつきにつながっていると考えられました。

 

しかし、調べてみると、

ばらつきの主因はそこにはなかったのです。

 

確かに、

品種によって

ハンドリングの負荷は異なっていましたが、

それはばらつき全体の2割程度へ影響しているだけでした。

 

では、残り8割を占めるばらつきの原因とは何か?

 

現場に聞いてみると、

作業のやり方が大きく2通りあって、

作業者はそれぞれ自分でどちらかのやり方をしているというのです。

「そもそも、なんで2通りのやり方があるのですか?」

 

その現場のベテランは次のように説明してくれました。

「うちでは、主にOJTで、

ベテランが若手へ

現場作業のやり方を教えていますが、

そもそも、ベテランによってやり方が違います。

若手がつくベテランによって

教えられる作業内容に違いがあるのです。

そこでなんとなく、

大きく2通りのやり方が定着してしまいました。」

 

少々、詳細に分類すると、

2通りではなく、

それらの混合式という派生型もあり、

細かいところまで識別して分類すると、

ほとんど個々にバラバラでした。

 

 

 

生け花のような

文化、芸術の世界では

池坊流、小笠原流などの流派があっても、

それは個性の違いという文化的、芸術的な豊かさにつながります。

 

しかし、

モノづくりの現場で

生け花の流派よろしく、

○○流、△△流があっても

それは現場の「豊かさ」とは全く関係ありません。

 

現場の「豊かさ」は生産性で測られます。

作業の成果を工数で測るなら、

個性はその工数をばらつかせる原因にしかならないのです。

 

現場でお金を生み出す要諦は

生産の流れをつくることですから、

そもそも、

仕事のやり方が統一されていなけば

「流れ」を管理できないでしょう。

 

仕事のやり方を現場へ伝えるとき、

特に若手へ教えるときには、

ベテランのコピーを

作るってしまうような

人材育成のやり方は避けなければなりません。

 

なぜなら、教師役のベテランのやり方が

必ずしもベストのやり方とは限らないからです。

 

 

 

先の現場でやらねばならないことは、

その工程であるべき仕事のやり方を決めることでした。

 

ベテランの意見を集約し、

その現場にとって望ましい搬送作業のやり方を設定することです。

 

つまり標準です。

作業内容の良しあしを判断する基準となります。

 

人材育成で気をつけなければならないのは、

若手へ教える作業内容や作業手順自体にムダが紛れていないかどうかを見極めることです。

 

改善の余地があるにも関わらず、

従来からそのやり方をしているからと言って、

そのまま若手へ教えてしまっては、

ムダも一緒に伝承されてします。

 

現場作業の伝承では、

教える作業内容や作業手順自体に

ムダがあるのかないのか、

改善の余地があるのかないのか、

チェックすることが欠かせません。

 

もし伝承内容に改善の余地ありとなれば、そちらを急ぐ必要があります。

ムダを残したまま若手に絶対に教え込んではいけないのです。

 

先の現場では、改めて作業分析をしたうえで、標準作業を設定することにしました。

 

 

 

 

 

3.人材育成

人材育成のフォローと評価は2つの面からチェックを入れる必要があります。

1)対象となる作業をどの程度、習得したか?

2)教える対象となる作業は、そもそも望ましい姿か?改善の余地はないか?

 

したがって、

前者では習得の程度を

「全くしらない」~「人に教えられる」の基準で評価することになります。

 

一方、

後者では改善の余地を

「ある」~「ない」の基準で評価することになります。

 

人材育成を進めるにあたっては

ベテランひとりひとりに

頑張ってもらう必要があり、

ある程度の属人的な頑張りに依存することは避けられません。

 

また、それはベテランの仕事のやりがいにもつながる要素です。

 

このように、人材育成では

「推進の原動力」が

ベテラン依存になっても構いませんが、

「教える作業内容や作業手順」が

ベテラン依存になってはいけません。

 

モノづくりの現場では、

個性を発揮してもらいたいところと

そうでないところがありますが、

人材育成、

特に現場作業の伝承における個性は

時として悪影響を及ぼします。

 

現場作業の伝承では、2)項の観点のチェックが不可欠です。

それが抜けると、ムダもいっしょに若手へ伝承されてしまうことに注意を要します。

 

病気の治療で臓器移植をするとき、

なんらかのウィルスに

感染しているのを知らずに

臓器を移植してしまうようなものです。

 

移植を受けた患者には

責任は全くないわけで、

移植すべき臓器を見極める医者の問題に他なりません。

 

人材育成では、教えるべきこと、伝承すべきことに、まず焦点を当てます。

若手へ伝承すべき作業内容や作業手順に

”ウィルス”が紛れていないかどうかを見極めるのは重要な仕事です。

 

現場リーダーやベテランが

責任をもってチェックすべき仕事であり、

医者の役割を果たさなければなりません。

経営者はそうした目的を明確に伝える必要があります。

 

 

 

現場でみられる

各種「ばらつき」の原因のひとつが

この現場作業の伝承のやり方の不備です。

 

こうした不備があると、

作業の統一性がなくなり、

結局、現場の作業者は、

自分でやりやすい方法で作業をするようになってしまいます。

 

一体感を持った、ベクトルの揃った現場とは真逆の状態に至るのです。

 

人材育成で「教える作業内容や作業手順」をチェックする仕組みをつくりませんか?

 

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