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付加価値額生産性を高めるために、まず何をしますか?

1.付加価値額生産性

 前回のブログ「儲かる工場経営を計測する」( http://hajime-i.com/2018/10/31/blog330/ )では、2018年版中小企業白書に掲載されている製造業の大企業と中小企業、従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)に触れました。

〇製造業 大企業 付加価値額生産性

 2016年 1,320万円

〇製造業 中小企業 付加価値額生産性

 2016年   549万円

 中小は大手の42%の付加価値額生産性にとどまっています。

 

 また、弊社HPに掲載しているコラム「3人寄れば文殊の知恵」( http://koujoukeiei.jp/column/no120 )では付加価値額人時生産性を取り上げました。

 2018年版中小企業白書には製造業の大企業と中小企業の時間当たり労働生産性、つまり付加価値額人時生産性が掲載されています。2015年における付加価値額人時生産性は次の通りです。

 製造業 大企業  6,470円/人時

 製造業 中小企業 3,623円/人時

 中小の付加価値額人時生産性は大手の56%に留まっています。付加価値額生産性で比較すると中小は大手の半分程度の稼ぎです。こうした事実を踏まえると、中小の現場には、まだまだ付加価値額生産性を高める余地があるとも言えないでしょうか?大手にできて、中小にできないことはない・・・・・この心意気で、現場と一体となって、たゆまぬ改善活動に汗をかきたいです。

 儲かる工場経営の要諦は次の表現で言い尽くされます。

 ”顧客に選ばれる製品”を”効率良く”つくる。

 どんなに効率良くつくれても、そもそも製品が顧客に選ばれないと儲かりません。また、製品がどんなに顧客に選ばれても、ムダのある作り方では儲けも限定的です。ですから、”顧客に選ばれる”と”効率良く”の2つの観点で付加価値額生産性を高めます。

 

 

 

 

 

2.規模別の付加価値額生産性

 ここで、企業の規模別付加価値額生産性のデータをみてみましょう。

 2018年版中小企業白書には中小製造企業の常時雇用者階級別にみた労働生産性が掲載されています。総務省・経済産業省「平成24年経済センサス活動調査」から作成したものです。

 常時雇用者階級別にみた中小製造企業の労働生産性は次のようになっています。

 1~5人 323万円

 6~10人 398万円

 11~20人 430万円

 21~50人 462万円

 51人~100人 524万円

 101人~200人 562万円

 201人~300人 630万円

 従業員規模と付加価値額生産性が見事な比例関係にあります。この延長線上に大企業の生産性があると考えられそうです。

 規模の経済という言葉があります。いわゆるスケールメリットのことです。原材料1個購入するより、100個、1,000個単位で購入する方が購入単価を下げやすくなります。生産量の増加に伴って、平均費用が低下し、収益性が向上するという経済の法則です。

 

 中小製造企業の規模別労働生産性からも知れるように、大企業と中小企業の付加価値額生産性の違いは単純に規模の経済によるものだと解釈できるのかもしれません。

 ただ、大手の現場と中小の現場を実地で経験し、その違いを肌で感じてきた技術屋の立場から言うと、背景にあるのは”規模の経済”だけではなかったと皆さんへ訴えたいです。

 

 何があるのか・・・、それが連携力であり、チーム力です。規模が大きくても、しっかり成果を出している現場では、仕事が人につかず、仕事に人をつけて、連携させています。

 仕組みがあるからとも言い換えられますが、そうした現場では、仕事を進めるときにチームでやるのが”あたりまえ”になっているのです。組織的に仕事をやる文化や風土が現場にあるので規模のメリットを生かせています。

 連携力とは、1+1を3にも4にもする力です。個の力を増幅させる効果があり、ひとりひとりが力一杯、仕事に従事していて気持ちのいい状況に至ります。規模が大きくなるに従い、付加価値額生産性も高まっている背景にはこうした連携力、チーム力が間違いなくあるのです。

 

 

 

 

 

3.業種別の付加価値額生産性

 さらに、製造業以外の付加価値額生産性を眺めてみます。卸売業、小売業および宿泊、飲食サービス業の大手と中小、各々の付加価値額人時生産性は下記です。

 

 卸売業、小売業 大企業  3,815円/人時

 卸売業、小売業 中小企業 3,548円/人時

 

 宿泊、飲食サービス業 大企業  1,936円/人時

 宿泊、飲食サービス業 中小企業 1,802円/人時

 製造業と比べてどう感じますか?少なくとも2つのことに気づきます。

 ・製造業以外のいわゆるサービス業全般、生産性を高める余地はまだまだある。

 ・卸売業、小売業、宿泊、飲食サービスでは大企業と中小企業の生産性の差異は製造業程大きくはない。

 前者はしばしば語られていることです。グローバルにみると、国内サービス業の生産性は低いと言われており、大企業の数値で比べると一目瞭然です。

 後者は注目したい事実です。製造業では中小の付加価値額人時生産性が大手の56%程度に留まっているのに対して、卸売業、小売業は93%、宿泊、飲食サービス業も93%になっています。

 これらの業種では、規模の経済が効きにくいと言えるようです。

 

 それはなぜか?

 いろいろな要因がありそうですが、主因のひとつに「属人的な頑張り」があげられるのではないでしょうか?

 規模に関わらず、卸売業、小売業、宿泊、飲食サービスでは接客の出来不出来が収益に大きく影響を及ぼしているはずです。特に高額製品ではそれが問われます。

 当然、こうした業種でも、連携力、チーム力の重要性は製造業と同じですが、業種の性格上、収益力にはいわゆる”おもてなし”という無形の価値も役割を果たしており、その価値創出の多くは個人単位です。ですから、こうした業種でも連携力やチーム力でより組織的に、こうした無形の価値を提供できれば、まだまだ生産性は伸びそうです。

 そして、改めて製造業の数値を見ると、中小にはまだまだ伸びしろがあると感じませんか?中小は大手に劣ると考えるのではなく、業界としての可能性に注目したいです。連携力、チーム力を徹底的に磨けば、大手並みの生産性も夢ではないと考えています。

 製造業の付加価値額生産性を高めるのに連携力が大きな役割を果たしていると考えています。規模での差異、業種間での差異のデータを眺めるとますます、そう確信するに至ります。

 

 

 

 

 

4.ますは、連携力を磨き上げ、”効率よく”を目指す

 ”顧客に選ばれる”と”効率良く”の2つの観点で付加価値額生産性を高めたいとき、前者の”顧客に選ばれる”を実現したいと考えても、多くの中小現場では制約条件があるのではないでしょうか?

 中小の多くは下請け型の事業を展開しています。下請け型の事業における製品単価はそのまま顧客の製造原価に反映されるのが普通です。ですから、下請け型の製品単価は数字の上乗せが難しく、付加価値額の確保にはかなり知恵を絞らなければなりません。

 顧客に選んでもらえる強みを持たない限り、価格は工数評価となり、さらには値下げ要求に苦しむことになります。

 

 伊藤が中小現場の管理者時代、最も苦労した交渉事のひとつはこの価格交渉です。時間単価をベースに見積もりをはじくやり方をしていた顧客へ製品の価値を説明するのにかなりの工夫が必要でした。

 多能工化の成果を還元するストーリーで、ご相談を持ちかけ、賛同いただき単価アップを実現させたことがありますが、骨の折れる仕事であった記憶があります。

 下請け型の事業では価値をアピールできる余地に限界があるとも痛感しました。固有技術が世界で唯一の・・・という水準でしたら下請け型の事業でも価格の決定権を手にすることができるかもしれません。

 しかし、そうした事例はまれです。最終製品に求められる機能への影響力が限定的な部品であることが多く、どこの中小現場も付加価値額の上乗せには苦労しています。

 

 ですから、まずは、”効率良く”に焦点を当てて、現場の連携力を強化したいです。リードタイムを短縮し、生産性を高める駆動力は現場連携力であり、チーム力。まずは、現場の連携力に焦点を当てたいです。

 現場の連携力を強化する仕組みをつくりませんか?

 

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