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客先現場へ足繁く足を運んで見えてくる顧客の困りごとが顕在化されたニーズであり、

解決手段を提示するサービスで付加価値を生む、という話です。

 

1.付加価値の定義

付加価値を拡大する視点として、工場内では従業員満足度、工場外では顧客満足度

の最大化があります。

工場内外での満足度を高めて付加価値を高める

 

いいものを安く、たくさん作る時代は過去のことであり、今、注目するべきは付加価値。

その付加価値の定義はいろいろあります。

定量的には、

付加価値 = 売上高 -(材料費 + 残業費 + 外注費) 

で表現されますし、場合によっては、

付加価値 = 売上高 - 材料費 

でもいけます。

材料費に注目した付加価値で迅速に儲けを把握する

 

この場合の付加価値は、将来投資への源泉あるいは固定費を回収して利益を稼ぐ

源泉と解釈できます。

 

そして、工場の使命は将来投資の源泉たる付加価値を稼ぐことであると明確な柱を

現場へ打ち立てることが、従業員満足度(ES)を高めることにも繋がります。

自社職場を良くしたい、豊かに成長していきたいと考えない現場はありません。

 

ですから仕事の目的を明確にし、さらにそれが定量化されるなら、現場のモチベー

ションが、ますます高まる環境が整います。

自社の視点に立つならば、付加価値をこのように解釈できるでしょう。

 

一方で、顧客視点の付加価値で着目すべきは顧客満足度(CS)です。

顧客はどうしてもらったら気持ちが良くなるのかを考える。

 

この時に必要なのは、2つの視点です。

・顧客自身が既に気が付いていることに着目する。(顕在的ニーズ)

・顧客自身がまだ気が付いていないことに着目する。(潜在的ニーズ)

 

後者の付加価値は新たな市場を開拓し、そこで主導権を握ることを可能にします。

繰り返し事例で取り上げられますが、iPod、iPhoneのような製品、また国内では

ソニーのウォークマンで。

モノづくりの「企画力」が問われます。

発想力が必要であり、こうした事業でヒットを連発するのは難しそうです。

 

そこで、まず、中小モノづくり現場では、前者で付加価値の拡大を狙うのが定石である

と考えています。

後者のニーズは前者の延長線上にも存在し得るからです。

技術イノベーションの方向性としてリスクを低減できます。

 

 

 

2.客先現場の困りごとに機会がある

付加価値を拡大しようと考えるなら、まず、顧客自身が既に気が付いていること

(顕在的ニーズ)に着目します。

顧客自身が既に気が付いている「こうして欲しいコト」に注目して、その解決策を

提示するのです。

 

顧客が一般消費者ではなく、我々と同じく事業を営んでいる企業であるならば、

困りごとを解決するのが、顕在的ニーズへの対応のほ大部分になります。

 

加工を主業としている生産現場の管理者をやっていた頃、取引先の担当者から自社

工場を評価する点についてヒアリングする機会がありましたが、自社の売りと考え

ていた短納期対応よりも、客先での問題を解決する仕事の進め方の方に価値を

認めてくれていたのに初めて気付いたことがありました。

コア技術の見極めを工場でやってはイケナイ理由とは

 

地域に根差した事業活動を展開しているならば、取引期間の長い顧客があるはずで、

そこの顧客がどのような困りごとを抱え、その解決に自社工場がどうかかわることが

できるのか考えてみます。

 

先の生産現場では、「顧客の困りごとを図面にする」が付加価値を生み出す具体的な

取り組みでした。

「こうしたい」という工学的な狙いを適切に図面化することができなくて困っている

というニーズ(困りごと)があったわけです。

 

こうしたニーズを引き出せるか否かは顧客との関係性の強弱次第です。

足繁く顧客へ出向くなかで、客先現場の困りごとも耳に入っている、つまり、

ビジネスの機会が増えます。

 

顕在化されたニーズ=顧客の困りごと=客先現場へ足繁く足を運んで見えてくること

この関係を理解して付加価値を拡大する機会をとらえたいです。

 

モノづくり現場で付加価値を拡大しようと考える際、どうしても新製品、新商品という

「モノ」に目が行きがちです。

その前に、「コト」から考えて、客先現場の困りごとをとらえることに挑戦します。

 

こうした姿勢を「サービスで稼ぐ製造業」と日経新聞で表現していました。

サービスで稼ぐ製造業へ進化を (産業革命4.0が拓く未来)

米ゼネラル・エレクトリック(GE)は航空機エンジンや発電機器をネットに接続し、

取り付けたセンサーから得られる「ビッグデータ」を分析、故障する前に部品を交換

するなどのサービス事業を伸ばしている。

日立製作所も鉄道や発電設備などをネットでつないだ保守サービスに力を入れる。

こうしたサービス事業は大手製造業の専売特許ではない。自動車向けを中心とした

金型メーカーのヤマナカゴーキン(大阪府東大阪市)は、金型を固定するボルトに

センサーを埋め込み、振動や加わる力から金型に起きる不具合を予測できるようにした。

異常が起きる前に修理すれば生産設備を安定的に稼働させることができる。

山中雅仁社長は「当面は金型の受注増をめざし、ゆくゆくは保守サービスの対価を

もらえるようにしたい」と、新しいビジネスモデルづくりに意気込む。

企業は様々な分野に進出できる可能性がある。

ダイキン工業は販売した空調機器をネットで結び、顧客の電力消費の状況を把握して、

時間帯によって契約先の電力会社を変えることを提案する節電支援サービスを視野に

入れる。

(中略)

そして肝心なのは、独創的な事業モデルを描く構想力である。経営力の優劣が

表れやすくなっていることを企業は自覚すべきだ。

(出展:日本経済新聞2016年8月17日)

 

 

 

3.モノづくりにサービスを織り込む

企業の規模にかかわらず、サービスを事業に取り込む製造企業が、これから増える

のは間違えなさそうです。

モノづくり企業として、どのような「サービス」を提供できるのかを考えます。

 

多くのモノづくり現場は「モノ」を造ることには自信をもっており、長年積み

上げてきたノウハウを持っています。

 

そして、今後、付加価値を拡大しようとするならば、モノづくりのノウハウに

加えて、「コト」にも着目し、客先現場での困りごとへ具体的な問題解決策を

提示する。

 

「固い」イメージのモノづくりに「柔らかい」イメージのサービスを織り込みます。

顧客視点のモノづくりでは、「サービス」も加えた事業展開になりそうです。

 

地域に根差した中小モノづくり企業であるならば、まずは、客先現場の困りごと

に耳を傾けます。

 

現場リーダーや各工程のキーパーソンこそ、客先の現場へ足を運び、その目で

実態を把握するのが、付加価値拡大のきっかけとして望ましいです。

自分自身もある意味では顧客の立場であるわけですから。

 

 

まとめ。

客先現場へ足繁く足を運んで見えてくる顧客の困りごとが顕在化されたニーズであり、

解決手段を提示するサービスで付加価値を生む。

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