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貴社では管理技術も強みとして認識していますか?

 

1.株式会社小松精機工作所のコア技術

設備の「電子機器」化が進んでいます。

設備の操作はタッチパネルなど、モニターを通じて行われることか増えました。

ベテラン従業員が職人技で設備の微調整をしながら・・・、という場面は少なくなってきたかもしれません。

 

マニュアルに従って操作すれば、経験の浅い作業者でも概ね安定した品質の製品を製造することが可能です。

技術の進歩は生産性を高めてくれます。

 

モノづくり現場で操作容易性が向上するのはいいことです。

生産性向上を目指す少子化対策にも合致します。

 

ただ、操作性が高まることで、モノづくりの本質が忘れられる懸念があることに注意です。

ベテランによる微調整作業がデジタル化された要素技術にとって代わられます。

 

そもそも、なぜ、そうした微調整が必要なのか。

例えば、こうしたモノづくりの本質的に関連したことを、現場が意識する場面は減るのです。

 

設備がデジタル化されても、モノづくりの根幹をなすコア技術の本質は追及し続ける必要があります。

情報が媒体に「転写」される瞬間に着目するのです。

 

現象を科学的、工学的に見つめ、コア技術を磨き続けます。

これは、あらゆる中小製造企業で共通した永遠の課題です。

 

 

 

さて、コア技術は2つの要因で構成されていることにも着目しなければなりません。

貴社の強みは?問われて、多くの経営者は固有技術の方に意識が向くのではないでしょうか?

 

固有技術は、モノづくりの土台となる生産技術、製造技術です。

固有技術がコア技術を構成する重要な要因であることはまちがいありません。

しかし、コア技術はこれだけではないのです。

 

固有技術を強みとして発揮するためには、仕組みや環境も欠かせません。

仕組みや環境整備をする力、これも大切です。

 

つまり、管理技術もコア技術になり得ます。

こちらは競合から見えにくいブラックボックスの強みです。

 

 

 

ジャストインタイムや自働化に代表されるトヨタ生産方式はトヨタ自動車のコア中のコアです。

カンバンを形式的に他社が模倣してもうまくいかないというブラックボックス的強みです。

 

固有技術とくらべて、当事者には当たり前すぎて、意識されにくい難い強みでもあります。

しかし、これらは、間違いなく、真似されにくい独自技術です。

このコア技術になり得る管理技術を磨き上げることも大切です。

 

 

 

株式会社小松精機工作所は長野県諏訪市に本社工場がある精密プレス部品メーカーです。

自動車エンジンの燃料噴射装置部品の世界シェア30%を誇ります。

世界を相手に商売をしている中小企業です。

(出典:日本経済新聞2016年5月9日)

 

資本金9,750万円、従業員250人。

1953年、セイコーエプソンの協力工場として設立されました。

 

腕時計部品の製造から事業をスタートさせています。

そして、一貫製造体制を構築するまでに至りました。

プレス金型製作-プレス加工-切削二次加工-熱処理・表面処理加工-組立。

 

その後のビジネス展開の上で、この一貫製造体制の構築は同社の強みとなっています。

ここで、同社の固有技術が磨き上げられました。

 

同社の固有技術を、以下のように紹介しています。

腕時計のムーブメント部品の

プレス加工技術には、

高品位せん断、微細穴抜き、

絞り、曲げ、冷間板鍛造 

等々の広範囲塑性加工技術の集大成が

必要であり、且つ、

微細エネルギで

正確に駆動される機構という宿命

から要求される寸法精度、性状精度 数μm を克服しなければならない。

この創世記に培われた

金型製造技術、

プレス加工技術、

製造体制を基盤DNAとして、

情報機器、医療機器、自動車部品業界への事業展開を図って行くこととなる。

(出典:同社HP)

「基盤DNA」と表現されています。

これらが同社のコア技術です。

その後の外部環境変化への柔軟な対応を可能にしています。

 

現在の主力製品は、「オリフィスプレート」です。

 

中央部に2~18個の穴が開いた直径1センチ前後、厚さ0.1~0.2ミリの円形の金属部品です。

円形の金属プレートにそれぞれ「異なる方向」に穴が「斜め」に開いています。

 

エンジンの燃料噴射装置の先端に同社のプレートを取り付けると、燃料が穴から多方向に飛び出します。

同一方向から燃料が飛び出すよりも燃焼室での燃料の燃焼効率が高く、燃費の向上につながるそうです。

 

この主力製品では、「異なる方向」に「斜め」に開けることが技術課題でした。

ドリルで開ければ穴側面の仕上がり状態やバリに、放電加工では穴位置精度に問題があったのです。

 

そこで挑戦したのは、垂直に動くプレス機で多方向に斜めの穴をあけることでした。

 

固定する治具に材料を斜めにセットすれば、穴も斜めになりますが、全て同じ方向を向いてしまいます。

 

ここで、同社は、特殊な構造の金型を開発しました。

時計部品で培った精密加工技術である「基盤DNA」となる技術を活用したのです。

試行錯誤を繰り返し、「異なる方向」に穴を「斜め」に開けることに成功しました。

 

 

燃料噴射装置は制御技術が進化しても、部品の精度が向上しなければ、装置の機能向上は限定的です。

「オリフィスプレート」は、顧客にとって燃料噴射装置の性能を左右する部品となります。

機械的な精度の限界を上げて、付加価値を生み出しました。

 

顧客の最終製品の性能を左右するということは、顧客にとっても、その技術はコア技術となります。

顧客への影響度が高い部品は、付加価値が高いです。

 

広範囲の塑性加工技術はまぎれもなく同社のコア技術であり、強みとなっている固有技術です。

 

 

 

 

 

2.管理技術も欠かせないコア技術

こうした部品を小松精機は月600万~650万個生産しています。

 

この規模で安定量産を継続するには、固有技術を的確に機能させる管理技術が必要です。

生産管理や品質管理の基盤がしっかりしていないと、顧客の信用を損ねる事態に陥ります。

 

小松誠社長は次のように語っています。

「(大量生産や品質管理でも)腕時計部品の製造体制が生きた。」

(出典:日本経済新聞2016年5月9日)

 

また、同社のHPの中でも小松社長は下記のように語っています。

60年の社歴を有しますが、必ずしも順風満帆であった訳ではありません。

二度の大きな危機に遭遇しました。

腕時計業界の「成熟化」と情報機器業界の海外シフトによる「空洞化」。

然しながら、それぞれの危機の場で、新しい業界への切り替えと、業績復活を可能としてくれた財産。

それは、創業期に取引先から教え込まれた腕時計部品の製造技術と管理技術でありました。

(出典:同社HP)

管理技術も同社の強みです。

 

同社のHPのメインメニューに「管理力」があります。

そこで、そのことを丁寧に説明しています。

 

管理技術も強みと捉えて、コア技術を磨き上げることで、管理技術も強化されます。

従業員全員のベクトルが同じ方向を向くからです。

向きがそろったベクトルの束は強力です。

 

固有技術に直接関与するのは、特定の技術者や技能者に限定されます。

しかし、管理技術の場合、ほとんど全ての従業員が関わります。

 

そこで、経営者は、管理技術が強みであることを全員に伝えるのです。

全社の意識が高まりやすくなります。

当事者意識を持つ従業員が増えるからです。

 

管理技術は、組織文化や風土へ影響を与え、また、そこから影響を受けるコア技術です。

管理技術はやる気を引き出す役割も担います。

 

 

同社のHPの「管理力」の「こだわり」のページに下記の記述があります。

情報をリアルタイムに共有し、タイムリーな指示によるモチベーションの向上

(出典:同社HP)

納得です。

 

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