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工程能力指数を把握して、適切な検査体制を検討していますか?

 

1.工程能力は不良率0.3%に相当するバラツキ

工程(生産設備)が持つ製造品質の均一性は、「工程能力」で定義されます。

そこで、「工程能力」を統計的な「バラツキ」で表現するのです。

 

工程能力は、標準偏差を使って、次のように定義します。

工程能力 = ±3σ (あるいは6σ)

統計的にバラツキを有した計測値の分布は、平均値と標準偏差(σ)で要約できるからです。

 

計測値が正規分布であると仮定します。

すると、製品寸法の値が、±3σ(6σ)の範囲から外れる確率は約0.3%です。

 

製造した1000個のうち約997個が平均値を中心にした±3σのバラツキ範囲にあることを意味します。

逆に言うと1000個のうち3個は±3σの範囲外に存在するということです。

 

生産現場では、工程(製造設備)のバラツキが正規分布にしたがうと仮定します。

標準偏差σからバラツキを把握できるのです。

平均値からどの程度バラツクかは標準偏差分布表から数値で読み取れます。

 

σを単位にしてバラツキを表現したとき、

中心(平均値)からの片側のバラツキは「σ」です。

中心を挟んで両側のバラツキは「±σ」で表記します。

 

標準偏差分布表から読み取ると下表になります。

https://staff.aist.go.jp/t.ihara/normsdist.html

バラツキ バラツキ範囲内の確率(割合) バラツキ バラツキ範囲内の確率(割合)
σ 0.341345 ±σ 0.68269
0.47725 ±2σ 0.9545
0.49865 ±3σ 0.9973
0.4999683 ±4σ 0.9999366
 0.499999713 ±5σ 0.999999426

全体を1とした時、各バラツキ範囲にある確率(割合)です。

ですから1から上表の各数値を引いた数値がその範囲外に存在する確率(割合)です。

 

正規分布上に表記すると下図です。

図1

平均値(μ)を中心にして±σ、±2σ、±3σの範囲にある割合(確率)を

赤字で表記しています。

各バラツキの割合(確率)は上記の標準偏差分布表の数値です。

 

平均値(μ)を中心にした±σ、±2σ、±3σのバラツキ範囲外の割合はおおよそ以下であることがわかります。

±σで32%

±2σで5%

±3σで0.3%

±4σで0.006%

±5σで0.00006%

 

 

こうしたバラツキを持つ工程(製造設備)で、所定の上限値と下限値を規定するのが公差です。(緑点線)

 

工程能力は±3σ(6σ)のバラツキに相当する計測値を我々に教えてくれます。

そして、工程能力は不良率0.3%に相当するバラツキです。

 

 

 

 

 

 

2.工程能力指数1.33

公差によって不良率が決まります。

ですから、工程能力を睨みながら公差を決定するのが望ましいわけです。

 

図面が確定し試作をしてみたらバラツキが大きくて不良多発!!という事態を避けるためです。

承認図方式で製品開発を進める場合、

開発途中で、顧客に図面変更という負荷を掛けないためにも配慮しなければなりません。

 

ですから、設定する公差で、どの程度の不良率になるかを事前に検討することが必要です。

工程能力と公差を比較して決めます。

 

ここで、公差との相対関係で工程能力を示した工程能力指数(両側規格)を定義します。

工程能力指数 = 公差÷工程能力 = (上限値-下限値)÷ 工程能力

       = (上限値-下限値) ÷ 6σ

 

 

工程能力指数が1.00である時、公差は工程能力、つまり6σ相当であることを意味します。

1000個で3個の不良品発生が予測されるのです。

 

0.3%の不良率で目的の収益計画を達成できるならば、この水準を維持することに専念します。

問題があるならば、工程能力指数を向上させなければなりません。

 

 

 

工程能力指数の目標値に、工程能力指数1.33があります。

工程能力は十分にあり、理想的な状態なので維持するべき状況と判断されます。

 

工程能力指数が1.33は工程能力±3σ(6σ)に対して1.33倍の能力を要求しています。

(両側規格の場合)

 

これは±4σ(8σ)相当のバラツキを意味します。

工程能力指数 = ±4σ(8σ) ÷ ±3σ(6σ) =1.33

 

4σは99.99366%の割合です。

不良率が約0.006%。10万個に6個程度の不良品が発生する水準になります。

 

この数値が、量産で目指すべきバラツキ水準のひとつの目標です。

工程能力指数1.33ならば、

製品によっては、全数検査に変えて、抜き取り検査に変更することも可能となります。

工程能力指数は抜き取り検査の根拠となり得るのです。

 

顧客との図面公差に関する交渉では、こうした数値を活用して現実的な仕様を決めます。

 

ちなみに、工程能力5σに相当する工程能力指数は、1.67。

工程能力指数 = ±5σ(10σ) ÷ ±3σ(6σ) =1.67

5σは99.9999426%の割合なので、不良率が約0.00006%。

1000万個に6個の水準です。

 

 

 

 

 

3.工程能力指数は検査体制を考える判断材料にもなる

全数検査が品質保証の原則です。

 

ただし、顧客要望や製品仕様で検査方法は様々です。

・納入する製品へ1個でも不良品の混入が許されない場合

(不良品=人命へ危険をおよぼすケース)とある程度の不良品の混入が許容される場合。

・全数検査が比較的簡単にできる場合と検査コストが小さくない場合。

・検査費用対比で製品価格が安価な場合と高価な場合。

・品質を保証するために破壊検査が必要な場合と不必要な場合。

いろいろなケースが考えられます。

 

ですから、原則的に全数検査を考えながら、

設定される公差から予測される工程能力指数等をベースに、全数か抜き取りかを決めるのです。

 

自社商品なら、こうしたことを自社基準に照らし合わせて決めます。

また、承認図方式等、仕様と価格の決定権が顧客にあるなら、事前に顧客と決めなければなりません。

 

工程能力指数は、検査体制を決定する際の客観的な判断材料になります。

工程能力指数と出荷実績の相関から、長期的に検査コストの最適化が図れるのです。

 

検査工程は自社製品の品質をチェックする極めて重要な工程です。

か、ただお金をかければいいというわけではありません。

 

ですから、要求品質を維持するための「最低の」検査コストを見極めます。

顧客も過剰品質を望んでいません。

それを見極めるときの判断基準のひとつに、工程能力指数があります。

 

 

 

検査体制は、経験からなんとなく決めている現場が多いです。

 

ですから、勘や経験ではなく、

こうした客観的な基準を活用して判断することで、独自の判断ノウハウが積み上がります。

 

顧客満足を維持する品質を実現させる最低コストを、客観的に判断するノウハウです。

客観的な判断ができる現場は強いです。

業務の必然性が明確だからです。

目的、狙いがハッキリします。

 

一方的に指示のみを受ける状況下の現場とは異なります。

ヤラサレ感がありません。

客観性の高い現場からは、やる気が引き出されやすいのです。

 

 

現場の工程能力指数を高める取り組みをしませんか?

 

 

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