戦略的工場経営ブログ存続と成長を実現できる工場とできない工場の違い

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工場の存続と成長のために、仕組みは欠かせない、という話です。  

1.仕組みによって客観的な判断基準を手に入れる

継続して経営資源を生み出すことが企業の存続と成長に必要です。 地道にキャッシュや人財、ノウハウ等を創出し続けます。   そして、このためには”仕組み”が不可欠です。 現場の各工程および工場全体に適用する判断基準を明確にするためです。 特に全体最適を判断するのに付加価値を活用します。   仕組みを構築して、定着させるイメージ。 このイメージが大切です。   試行錯誤をしながら、自分たちの強みを見極め、しつこくやり続ける。 仕組みの定着には時間が掛かります。 したがって、5年先、10年先を見通した、長期的な展望を持った戦略的な視点が欠かせません。     戦略的な視点を持った工場経営で時間を味方につけて、仕組みが現場へ定着、浸透するのです。 経営者の想いを反映した”仕掛け”が機能してPDCAサイクルが回り始めます。   さて、仕組みが定着している工場の強みは何でしょう?   それは、工場の「今」の状態をはっきりと把握できることです。 工場の現状を、客観的に、定量的に、明確に、理解することができます。   企業は環境変化適応業とも変化創造業とも言われます。 時代の流れは速く、経営環境の変化も激しい昨今です。   経営者は様々な状況で、迅速に、的確に、判断を下さなければならない状況に置かれています。 不確実性が高い経営環境にあります。 最適な判断をし続けるには、客観的な判断基準が絶対に必要です。 判断基準がなければ、頼るのは勘と経験ということになります。 さらに、判断基準に照らし合わせる判断材料を入手し続けることも必要です。   仕組みは、これらを実現させます。 その結果、経営者はあらゆる局面に自信をもって対応できます。   なにせ、自分で検討し、使い続けてきた判断基準をもとに、白黒つけられるのです。 経営者にとって、これ以上、頼りになるものはありません。   重要な決断をした時に、従業員へ説得力を持って説明できます。 共感も得られやすいです。 経営者がなぜそう考えたか、現場も理解できるからです。   勘や経験による判断のみにもとづく工場経営では、早晩、行き詰ります。      

2.仕組みはワクワクする将来を描く道具であり羅針盤である

工場の存続と成長に欠かせないモノ、それは仕組みです。 78ecfb7b8a6fcc4de20dcce24ccc87fa_s ですから、存続と成長を実現できる工場とできない工場の違いは、仕組みの有無です。 現場に適した仕組みを持っているか、持っていないかです。   貴社の従業員は現場の将来をどのように感じているでしょうか。 ワクワクする希望に満ちた将来? 漠然とした不安を抱えた将来? こうしたことを決定付けるのが仕組みです。   混迷の時代です。 経営者の判断がその会社の存続を左右します。   したがって経営者の最大の仕事は、将来に目指すべき状態を設定することです 経営者にしかできない将来の収益を獲得するための見通しづくりです。   さらに、将来に目指すべき状態を設定するときに欠かせないものがあります。 「今」の状態を把握していることです。   現状の客観的把握を抜きにして、将来に目指すべき状態を設定しても仕事になりません。 将来に目指すべき状態のみを設定しても現状とのギャップを認識できないからです。   現状と将来に目指すべき状態とのギャップを埋めるところに仕事の具体性が見出されます。   仕組みがあれば、定量的に「今」の状態を把握できます。 それを睨みながら、経営者は「将来」のワクワクする工場の目指すべき状態を設定するのです。 そして、「今」と「将来」を比べます。 「ギャップ」から具体的な課題を設定するのです。 このように5年先、10年先の目指すべき状態を設定し見通しを立てます。   仕組みは、「今」、「将来」、「ギャップ」を把握する道具です。 不確実性という大波の海原で、航海を続けるモノづくり現場の羅針盤です。   仕組みという羅針盤を手にした現場では、従業員のやる気を引き出す環境整備が整います。      

3.仕組みの客観性で納得感が高まりやる気が出る

仕組みは従業員のやる気を引き出します。 業務の客観性が高まるからです。   下記のグラフは三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)による調査結果です。 「働きやすい職場環境に関する調査」を実施しました。 (出典:2009年版中小企業白書 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 「働きやすい職場環境に関する調査」(2008年12月)から作成)   現場の動機付けを図るポイントを知る参考になります。 正社員が仕事のやりがいと感じることをあげてもらいました。 最も大きいものと、2番目に大きいものの2つです。 両者を合計しました。 図1 この結果を見てどう思いますか?   賃金水準(昇給)が1番になっているのは当然でしょう。 また、社内の地位(昇進)が低いのは意外です。 さらに、従業員が感じているやりがいの内容は、会社の規模に関係なく同じです。 中小企業と大企業で、各項目の分布が、ほとんど一致しています。 興味深い結果です。   この中で、従業員が感じるやりがいとして注目すべき項目は2つです。 ・仕事の達成感 ・業務への評価 賃金水準以外のやりがいとして注目すべきです。   賃金水準が大企業に及び難いという制約条件は、中小の現場では避けがたいです。で すから、やりがいに焦点をあてたい。 従業員の多くが感じている仕事の達成感と業務への評価を大切にしたいのです。   この2つを重視した工場経営で従業員のやる気を引き出します。 仕事の達成感や業務への評価に配慮をした中小企業ならではの工場経営を展開するのです。 「この会社に入ってほんとうに良かった。」と多くの従業員に感じてもらいます。   これこそが、中小製造企業のの取るべき方針です。 人財を最大限に生かせます。 そして、仕組みがあれば、そうした対応ができるのです。   仕組みがあれば、自分が担当している業務に判断基準が設定されます。 業務の客観的な目標が明らかになっているわけです。 トップから期待されて目標を提示されれば現場は仲間と一緒に頑張りたくなります。   頑張ってそこに至れば、経営者と一緒にガッツポーズです。 現場は大きな達成感を感じます。 組織的な喜びは、個人的なそれよりも大きいです。 681cd207f7108d08daf3c6b7381b4977_s 一方、経営者も、現場へのフォローと評価がしやすくなります。 判定の基準がハッキリしているからです。   逆に言うと、厳しい評価をした場合でも、納得感を得られやすいということです。 仕組みの客観性が成せる業です。 業務への評価に対する納得感、これは儲かる工場経営を実現する上、欠かせないものです。      

4.モノづくり現場の未来に向けた明るい展望を現場へ示す

工場が将来、ワクワクするモノになるかどうかは設定される目指すべき状態次第です。 経営者の想い次第です。   それには、現状を客観的に把握していることが欠かせません。 そして、仕組みがあれば、それが可能です。 説得力も増します。   提示されたワクワク将来への見通しで、現状えの不満は解消です。 現状がどんなに厳しく辛くても、将来に明るい展望があれば、現場は踏ん張れます。 ca5f86877b342fc2f8f8479e6252294b_s   夢を語ることは、やる気を引き出すことに繋がります。 見通しは活力を生みます。 従業員が会社を誇らしく感じるきかっけになります。 将来に向けた見通しを提示すること、これは経営者にしかできないことです。      

5.仕組みを構築し定着させる工場経営

モノづくり現場に仕組みがあること。   これが、改善や5S等の現場活動を展開する前提条件です。 判断基準や評価基準が不明確な状態で活動を始めても、上手くいきません。   客観的なフォローと評価ができないからです。 その結果、現場は成感を感じる機会が得られません。   あらゆる活動に対して仕組みの構築が先です。 ただし、仕組みの構築と定着には時間を要します。 そこで、仕組みを構築し定着させる確かな意図を持って工場経営を進めるのです。 その先に、現場の存続と成長があります。   まとめ。 工場の存続と成長のために、仕組みは欠かせない。
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